勘定科目の「通信費」とは?経理担当が知っておくべき基礎知識を徹底解説
通信費とは「固定電話」や「インターネット回線」など、企業活動で発生する通信に関する費用を計上する勘定科目のことです。
業務でパソコンやスマートフォンなどを活用するうえで欠かせないものであり、経理担当とも切っても切り離せない存在といえます。
しかし、通信費の取り扱いを正しく理解・管理できなければ、予算超過や不正な支出計上、監査時の指摘などのリスクが生じるおそれがあります。
そこで本記事では、通信費の定義や仕訳方法、注意点などを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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通信費とは?
通信費とは、企業活動において発生する通信に関する費用を計上する勘定科目です。下記の3つの視点から、通信費の基本的な知識について詳しく解説します。
通信費の定義と範囲
通信費は、事業活動に不可欠な通信手段の利用で発生する費用を計上する勘定科目です。具体的には、固定電話やインターネット回線、携帯電話などの通信サービスの利用料金が該当します。
通信費の主な特徴は、下記のとおりです。
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経費として認められるためには、業務との関連性を明確に示せることが重要です。そのため、通信費の計上では請求書や契約書などの証憑書類を適切に保管し、「業務利用の実態を説明できる状態」にしておく必要があります。
勘定科目の仕訳に関する基礎知識については、下記の記事をご覧ください。
通信費に含まれる費用
通信費に含まれる費用は、下記のとおりです。
費用区分 |
通信費に含まれる費用詳細 |
電話料金 |
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インターネット関連費用 |
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郵便・宅配料金 |
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その他 |
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事業内容によっては、上記以外にも、専用回線利用料やビジネス用のメッセージアプリの利用料などが通信費として計上される場合があります。
インターネットを利用したビデオ会議システムの利用料も、近年では通信費として一般的になってきた費目の一つです。
ただし、私用と業務用の区別が難しい場合は按分して計上するなど、合理的な基準に基づいた処理が求められます。
通信費と類似する勘定科目との違い
通信費と類似する勘定科目の代表が、「荷造運賃」や「広告宣伝費」です。これらの科目は通信費と混同しやすいですが、それぞれ分けて管理する必要があります。
荷造運賃 |
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広告宣伝費 |
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それぞれの違いを理解し、適切に勘定科目を使い分けることが重要です。
通信費の仕訳方法|3つの事例と注意点
本章では、具体的な事例を参考にしながら、通信費の仕訳方法を解説します。
注意点も一緒に、チェックしてみてください。
事例1.電話料金の仕訳
電話料金は毎月定期的に発生する費用であり、発生時に通信費として計上します。固定電話や携帯電話の料金は、請求書の受領時に下記の仕訳を行います。
(例)電話料金10,000円を事業用の口座で支払った
借方 |
貸方 |
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通信費 |
10,000円 |
未払金 |
10,000円 |
実際の支払い時には、下記の仕訳を行います。
借方 |
貸方 |
||
未払金 |
10,000円 |
普通預金 |
10,000円 |
なお、電話料金には通話料と基本料金が含まれ、消費税の課税対象となることにも注意が必要です。
事例2.インターネット料金の仕訳
インターネット料金も毎月定期的に発生する費用であり、基本的な仕訳方法は電話料金と同様です。料金の請求を受けた時点で下記の仕訳を行います。
(例)インターネット料金15,000 円を事業用の口座で支払った
借方 |
貸方 |
||
通信費 |
15,000円 |
未払金 |
15,000円 |
支払い時の仕訳は、下記のとおりです。
借方 |
貸方 |
||
未払金 |
15,000円 |
普通預金 |
15,000円 |
インターネット料金には、回線使用料やプロバイダ料金などが含まれ、これらも消費税の対象となります。
事例3.郵便料金の仕訳
郵便料金は、切手の購入時や宅配便の利用時など、発生するたびに仕訳を行います。現金での支払いの場合は下記の仕訳となります。
(例)11,000円分の切手を、現金で支払った
借方 |
貸方 |
||
通信費 |
11,000円 |
現金 |
11,000円 |
後払い契約の場合は、月末に下記の仕訳を行います。
借方 |
貸方 |
||
通信費 |
11,000円 |
未払金 |
11,000円 |
郵便料金は切手代や配送料など、その都度金額が異なることが多いため、利用明細や領収書の管理を適切に行うことが重要です。
通信費の勘定科目に関する2つの注意点
通信費の勘定科目を扱ううえで、下記の2つの注意点があります。
注意点を守ることで、適切な会計処理を行い、税務調査などにも対応できるようになります。
注意点1.通信費と間違えやすい勘定科目
通信費と間違えやすい勘定科目は、下記のとおりです。
消耗品費(備品費) |
電話機やルーターなどの購入費用は消耗品費として処理されるケースあり |
修繕費 |
電話回線の修理費用は、修繕費として処理するケースあり |
旅費交通費 |
出張時の通信費は、旅費交通費として計上する |
広告宣伝費 |
SNSの広告費用は広告宣伝費として計上する |
これらの科目は通信費と混同しやすいですが、それぞれ異なる性質を持っています。費用の実態に即した適切な勘定科目の選択が重要です。仕訳に自信のない方は、下記の記事をチェックしてみてください。
注意点2.経費計上できないケース
下記の費用は、通信費として経費計上できません。
私的な通信費 |
プライベートな電話料金やインターネット利用料は、経費として認められません |
業務に関係のない通信費 |
役員や従業員の自宅に設置された固定電話やインターネット回線など、業務に関係のない通信費は経費として認められません (在宅勤務規程などで定められている場合は除く) |
通信費の経費計上にあたっては、業務との関連性を明確に示せることが重要な判断基準です。
利用明細や社内規程などの証拠書類を適切に整備し、税務調査にも対応できる状態を維持しましょう。
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通信費に関してよくある3つのQ&A
最後に、通信費に関してよくあるQ&Aを紹介します。
Q1.スマートフォン代を経費にできる?
スマートフォン代の経費計上は、業務利用の実態に応じて判断する必要があります。業務専用のスマートフォンであれば、通話料やデータ通信料を全額経費として計上できます。
一方、私用と業務用を併用している場合は、合理的な基準で按分する必要があります。業務時間の割合や通話履歴の内訳などを基準に算出することが一般的です。
なお、経費として認められるためには、利用明細や業務使用の記録など、客観的な証拠書類を保管しておくことが不可欠です。
Q2.Wi-Fiルーターの購入費用は通信費になる?
Wi-Fiルーターの購入費用は、通信費ではなく消耗品費か備品として計上するのが正しい処理方法です。具体的な金額によって、下記の2つの処理方法に分かれます。
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ただし、Wi-Fiルーターの月額利用料は通信費として計上できるため、購入費用と利用料金は区別して処理することが大切です。
Q3.テレワークで発生する通信費はどう処理したらよい?
テレワークにともなう通信費の処理は、社内規程の整備と合理的な基準に基づく計上が求められます。在宅勤務規程などで通信費の補助額や計上基準を明確に定めることで、適切な経理処理が可能です。
具体的な処理方法として、定額での通信費補助を設定する方法や、実費精算方式を採用する方法があります。その際、業務使用分の割合を明確にし、私用分との区別を付けるようにしましょう。
正しい通信費の処理で、会計処理を効率化しよう
【本記事のまとめ】
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通信費は企業にとって重要な経費であり、適切な会計処理が求められます。この記事で解説した内容を参考に、通信費の勘定科目を正しく理解し、仕訳や経費計上の仕方をマスターして正確な会計処理と節税対策を実現しましょう。
もし、通信費の処理について不明な点があれば、税理士や会計士に相談することをおすすめします。
なお、会計処理に限らず経理業務についてまるっと相談したい方は、経理業務のプロに頼むのも一つの手です。
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