通信費の経費計上とは?認められる項目と押さえるべき4つポイントを解説
通信費は「業務に必要な経費」として認められるため、事業所得から差し引くことができ、正しく計上すれば節税効果も期待できます。
一方で、個人用と業務用の境界線が不明確になりやすいため、間違って計上してしまうケースも少なくありません。
そこで本記事では、下記の内容を紹介します。
- 経費として認められる通信費のカテゴリ
- 通信費として計上できない費用
- 押さえるべきポイントと注意すべきケース
- 節税効果を高めるテクニック
最後まで読むと通信費の正しい経費計上の理解につながりますので、ぜひご覧ください。
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通信費の経費計上とは?
通信費の経費計上は、事業活動に使用した通信関連費用を会計上の経費として認識し、課税所得から控除する作業です。適切な経費計上を行うことにより、節税効果と正確な収支管理ができるようになります。
次の章からは、通信費の経費計上の基本と節税効果を最大化するポイントについて解説します。
経費として認められる通信費の5つのカテゴリ
事業活動に使用する通信費には、さまざまな種類があります。
経費として認められる主な通信費の5つのカテゴリについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.固定電話・携帯電話の料金
固定電話・携帯電話の料金は、 事業に使用した分を経費として計上できます。完全に事業専用の回線でない場合は、適切な按分が必要です。
使用時間や通話履歴をもとに業務使用率を算出し、その割合に応じて経費計上しましょう。
固定電話の基本料金や通話料、携帯電話の月額料金や通信料などが経費計上の対象になります。経費計上するうえで、正確な按分と記録保持が重要なポイントです。
2.インターネット利用料
インターネット利用料も、事業に使用した分を経費として計上可能です。
在宅勤務やオフィスでのインターネット利用が経費計上の対象になります。具体的には、光回線やWi-Fiルーターの月額利用料・データ通信料などが対象です。
在宅勤務の場合は、業務使用時間や使用頻度をもとにした按分が必要となります。
契約時の初期費用や工事費なども経費計上が可能です。ただし、事務所内のLAN環境を整備するために実施する工事費は、通信費で計上しません。「固定資産」や「消耗品」で計上するので、押さえておきましょう。
3.プロバイダ料金
インターネットサービスプロバイダ(ISP)への支払いも、経費として計上できます。月額利用料や、オプションサービスの料金などが対象です。
インターネット回線とセット契約の場合は、料金の内訳を確認し、プロバイダ料金部分を正確に把握することが重要です。
事業専用の契約であれば全額を、私用と併用の場合は時間を割り出して適切に按分して経費計上しましょう。
4.郵便・切手代
業務に関連する郵便物の送料や切手代も、経費として計上できます。
請求書や見積書の送付、契約書類のやり取りなど、事業活動に直接関連する郵便費用が対象です。切手を大量に購入した場合は、使用した分のみを経費計上し、未使用分は資産として計上しましょう。
同時に領収書や郵便物の控えなどの証憑を保管し、業務関連であることを証明できるようにすることも重要です。
私用の郵便物と混同しないよう、ファイルボックスなどを利用して明確に区分し、管理・保管するようにしましょう。
5.テレビ・有線放送料金
事業活動に必要なテレビや有線放送の視聴料も経費計上が可能です。
ニュース番組や業界情報を収集するために必要な場合に、通信量として該当します。NHK受信料・ケーブルテレビの利用料・衛星放送の視聴料などが対象です。
一方で、業務以外に視聴するなど完全に業務用途でない場合は適切な按分が必要です。
例えば、オフィスに設置されたテレビでも、従業員の休憩時間にも使用される場合は業務使用時間の割合で按分しましょう。
経費計上の根拠となる業務上の必要性を明確にし、適切な記録を保持することが重要です。
【間違いに注意】通信費として計上できない3つの費用
実は、通信費の経費計上で「誤って計上しがち」な費用があります。
通信費として計上できない3つの費用について詳しく解説します。
1.電話加入権の取得費用
電話加入権の取得費用は通信費として経費計上できません。
電話加入権は無形固定資産として扱われます。長期にわたって使用できる権利であり、減価償却の対象外となってしまいます。
電話加入権の取得時に一括経費計上せず、貸借対照表の資産の部に計上しましょう。
なお価値が著しく下落した場合は、減損処理が可能です。
2.通信機器の購入費
通信機器の購入費も、通信費として扱うことができないため別途計上が必要です。
PCやスマートフォン、ルーターなどは、固定資産または少額減価償却資産として扱います。基準は下記のとおりです。
金額 |
対応 |
10万円以上 |
固定資産として計上して減価償却を行う |
30万円未満 |
少額減価償却資産として一括償却できる |
3万円未満 |
少額資産なので消耗品費として処理もできる |
金額に応じた正しい勘定科目選択と、耐用年数を考慮した償却計算が必要です。
3.通信関連の広告宣伝費
広告宣伝目的で使用した費用は、通信費ではなく広告宣伝費として計上しましょう。
具体的には、HP等のWebサイトの運営費用やWeb広告の配信費用、SNSの有料プロモーション費用などが該当します。
事業の宣伝や販売促進を目的とするため、通信費とは区別した処理が必要です。費用の発生目的を明確に把握し、正しい勘定科目を選択することが求められます。
通信費と広告宣伝費の混同は、財務諸表の正確性を損なうおそれがあるため注意が必要です。
通信費の経費計上で押さえるべき4つのポイント
通信費の経費計上で押さえるべきポイントを4つ紹介します。
ポイントを適切に押さえて、間違いがないようにしていきましょう。
ポイント1.業務用と私用の按分方法
業務用と私用で共用している通信費は、適切な按分が必要です。按分方法には使用時間や使用量に基づく方法があります。
例えば、携帯電話やスマートフォンの場合は、通話履歴から業務用通話時間を算出し按分します。インターネット回線は、業務使用時間と私用時間の比率での按分が一般的です。
合理的かつ一貫した按分方法を採用し、根拠を明確に記録することが重要です。
税務調査に備え、按分計算の過程と結果を文書化して保管することを推奨します。
ポイント2.領収書がない場合の処理手順
領収書の紛失時も、一定条件下で経費計上が可能です。
クレジットカード利用明細やプロバイダ請求書など、支払証明の代替書類を用意しましょう。代替書類に基づき支払額と日付を記録し、経費としての妥当性を説明できるようにしておきます。
領収書の保管は原則として必要です。領収書のデジタル化やクラウド会計ソフト活用など、効率的な管理方法の導入で紛失リスクを軽減できます。
なお注意したいのは、領収書を電子保存する場合は「電子帳簿保存法の保存要件」を満たす必要があることです。
不可能ではありませんが、自社だけですべての項目に対応するのは困難です。もし保存要件を満たせていないと、最悪の場合で罰則を受けるおそれもあります。
効率よく保存要件を満たし、罰則のリスクを回避するには、すべての保存区分に対応した文書管理システムの導入がおすすめです。
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ポイント3.経費計上の適切なタイミング
通信費の経費計上は、原則として「発生主義」に基づきます。これは、サービス利用月の経費として計上することを意味します。
前払い契約の場合は、サービス提供期間に応じて月割りで経費計上します。後払い契約のケースは、サービス利用月の経費として計上し、未払金として処理していきます。
決算期をまたぐ場合は、適切に経過勘定処理を行うことが重要です。
ポイント4.通信費に関連する他の勘定科目との違い
通信費は他の関連勘定科目と混同しやすいため、明確に区別しましょう。
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また通信インフラ設置工事費は、原則として固定資産扱いで減価償却します。
勘定科目の違いを正しく理解して適切に処理することで、正確な財務報告と効果的な経費管理が可能です。
通信費の経費計上で注意すべき3つのケース
通信費の経費計上で注意すべきケースを3つ紹介します。
多くの人に関わる在宅勤務や、特別な場合の海外出張時の注意点などがあるので、事前に把握しておきましょう。
1.在宅勤務での通信費の扱い
在宅勤務の増加にともない、自宅の通信費の扱いが重要な問題になりました。在宅勤務での通信費は、業務使用分を適切に按分して経費計上することがポイントです。
例えば、1日8時間中6時間の業務使用の場合、通信費の75%を経費計上するイメージです。
【計算例】
業務使用割合 = 業務使用時間 ÷1日の使用時間= 6時間 ÷ 8時間= 0.75(75%) |
個人契約の回線を業務で使用する場合、会社からの支給は給与所得扱いの可能性があります。在宅勤務規定の整備と通信費の取り扱いの明確化が不可欠です。
2.海外出張時の通信費
海外出張時の通信費は、一般的に旅費交通費の一部として経費計上が可能です。ただし、長期海外駐在の場合は、通信費として別途計上するケースもあります。
具体的に、国際電話料金や海外用SIMカード料金、Wi-Fiルーターのレンタル料などが対象です。
計上する際は「為替レートの変動」や「現地の税制」の考慮も求められます。
私用と業務用の通信を明確に区別し、業務に関連した部分のみ経費計上しましょう。通信費の領収書や利用明細の確実な保管と、帰国後の速やかな経費精算を推奨します。
3.通信費の前払いや後払いの処理
商品やサービスの契約形態によっては、前払いや後払いが発生することもあります。
サービス利用期間に応じて経費を計上するのが「前払い」の場合です。例えば、年間契約のインターネット回線料を一括支払いする場合、月割りで経費計上し、未経過分は前払費用として資産計上します。
一方で後払いの場合、サービス利用月の経費として計上して未払金として処理します。
決算期をまたぐ場合は特に注意しましょう。決算時に経過勘定処理を行い、当期と次期の経費を正確に区分することが重要です。
通信費の経費計上で節税効果を高める5つのテクニック
経費計上で節税効果を高めるテクニックを5つ紹介します。
通信費の経費計上を適切に行うと、節税効果の最大化も期待できるのでチェックしてみてください。
テクニック1.適切な按分比率の設定
業務用と私用で共用の通信回線は、合理的な基準で按分比率を決定します。
例えば、1日8時間業務の場合、8/24= 約33%を業務用として経費計上が可能です。ただし、1回決めたからといってそのままにせず、業務の性質や使用状況に応じて定期的に見直しをしましょう。
按分計算の根拠となる業務記録や使用履歴の適切な保管がポイントです。適切な按分比率設定で過大申告リスクを避けつつ、最大限の節税効果を得られるようにしましょう。
テクニック2.補助科目の活用方法
「通信費」の下に「固定電話料金」「携帯電話料金」などの補助科目を設定しましょう。
見直した際に、各種通信費の費用対効果の分析や不要な支出の発見が容易になります。
また、税務調査時に詳細な内訳を示し、経費の妥当性を説明しやすくなるのもメリットです。会計ソフトを使用すれば簡単に補助科目の設定が可能なので、試してみてください。
テクニック3.通信費の定期的な見直し
通信費を定期的に見直すと、余分な支出を削減し節税効果を高められます。
半年に一度程度、通信費の内訳を詳細にチェックしましょう。使用頻度の低いサービスや重複契約がないかを確認し、該当するものがあれば解約します。
市場の通信サービス料金と比較し、より安価なプランや事業者への切り替えを検討するのもおすすめです。常に最新の情報をチェックし、節税効果を高めましょう。
テクニック4.クラウド会計ソフトの活用
クラウド会計ソフトを利用すると、通信費の経費計上をより効率的かつ正確に実施可能です。クラウド会計ソフトを利用すると得られるメリットの例を下記にまとめました。
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なお、会計ソフトの活用は経理DX化と同義といえます。DX化はさまざまなメリットがある一方で、あまり取り組まれていないのが現状です。
経理業務のDX化について下記の記事で詳しく解説しているので、気になる方はご覧ください。
テクニック5.通信費の経費計上漏れを防ぐ
経費計上漏れを防ぐことで、確実な節税効果を得られます。そのためにも月次で通信費の支払い状況を確認し、すぐに会計処理を実施しましょう。
その他の支払い漏れを防ぐ主なテクニックは、下記のとおりです。
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これらのテクニックを実践し、通信費の経費計上漏れを最小限に抑え、確実な節税効果を獲得しましょう。
なお、通信費の請求書がバラバラに届いて経費計上が漏れてしまうケースもあるでしょう。
このような悩みがある方には、「請求書を1枚にまとめて1回の処理で済ませるサービス」を利用するのも効果的です。次の章でおすすめのサービスを紹介します。
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初期費用 |
0円 |
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要問い合わせ |
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通信費の経費計上を正しく理解して節税しよう
【本記事のまとめ】
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通信費は、適切に経費計上すると節税効果を最大限享受できます。本記事で紹介したポイントやテクニックを参考にして、通信費の正しい計上を実践してみてください。
なお、通信費の経費計上が漏れてしまうと、せっかくの節税チャンスを逃すことになりかねません。そこでおすすめなのが、経費計上漏れを防げるシステムの導入です。
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