背泳ぎを専門にするようになったのは大学に入ってからだ。
もともとは平泳ぎ、バタフライをメインに泳いでいたが、バタフライはパラ水泳のルール改正により出場ができなくなった。大学に入る前の一番大きな大会だったアジアユースには背泳ぎでも出ていたけれど、ずっとバタフライでやってきたので、正直、背泳ぎにそこまで自信はなかった。
転向の背中を押してくれたのも鷲尾コーチだった。僕の練習の泳ぎを見て「キックの打ち方が上手だし、S8クラスの派遣記録を突破するのには、背泳ぎが一番可能性があると思う」と言ってくれた。
片腕で泳ぐので推進力が弱いし、片腕だけに負担をかけるとケガをしてしまうので、下半身の強化に取組んだ。脚のウエイトトレーニングを重点的に行ったことが、今の自分の強み、キックの強さにつながっていると思う。
正直めちゃくちゃキツイ練習の日々だったが、おかげで体力がつき、競技レベルが上がっている実感もあった。
3年生になると日本代表メンバーにも選ばれ、パラリンピック出場が現実味を帯びてきた。
入学当初から練習を見てもらっていた鷲尾さんにお願いして、僕の専属コーチについてもらった。
新型コロナという未知のウイルスの世界的な蔓延により、2020年のパラリンピックは延期となった。年が明けて2021年5月、選考会で派遣選考基準タイムを突破し、100m背泳ぎ、自由形、リレーの3種目への出場が決まった。
やっとスタートラインに立った感じがした瞬間だった。
窪田君が3年生になった夏くらいから、彼の専属コーチになりました。窪田君は東京パラリンピックの選考会に向けて、自分のやるべきことを明確にして練習に取組めていました。
東京パラリンピックの選考会では、みごとにベストタイムを更新して代表に選ばれました。
このころから、日ごろから支えてくれている人たちに言葉で感謝を伝えられる人物になったと感じました。