2023/5/23
2023/5/23
最初に、2021年に中小企業庁が実施したアンケート結果を紹介します。これは、新型コロナウイルスの感染拡大による経営への影響の中で「経営において重要度が上がった項目」を聞いた結果が以下となります。
(※)中小企業庁「中小企業白書 2021年度版」
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/PDF/chusho.html
全ての業種において1番多いのが、オレンジ色の項目「経営判断や業務プロセスの効率化・固定費の削減」の重要性が高まったという回答です。「業務プロセスの効率化・固定費の削減」というキーワードは多くの財務・経理部門の方が感じている課題感だと思いますが、このアンケート結果からも裏付けされていると言えます。
経理コンサルタントは、このような財務・経理部門の抱える課題の解決を支援する役割を担っています。
経理コンサルタントには、経理・財務をはじめとする幅広い知識やスキルが必要です。ここでは具体的にどのような能力が求められるかを紹介します。
経理業務全般に関するスキル
経理コンサルタントには、財務・経理部門の抱える課題を解決することが求められます。そのため、財務や会計のスキル、それらに関連した法律・制度の知識やノウハウが必要です。また、経理実務の経験を有するコンサルタントであれば、自身の経験に裏打ちされた、机上の空論ではない真に有効な改善策を提案することができます。経理コンサルタントになるのに特定の資格が必要という決まりはありませんが、下記のような会計や税務に関する資格を所有する経理コンサルタントも少なくありません。
主な資格例
論理的思考
経理コンサルタントは、会計監査を行う会計士や、税務申告を行う税理士といった士業とは異なり、経理業務の効率化やコスト削減をはじめとする企業の課題解決が主な業務です。そのため、クライアントの抱える問題について、現状を分析し、課題を解決するための目標や改善策を提案する論理的思考力が必要になります。複雑に絡み合う現状を解きほぐし、課題を抽出、優先順位を決めることなど、自社では気付きにくい改善策を専門家の視点で導くことが経理コンサルタントの強みと言えるでしょう。
コミュニケーション能力
コンサルティングを行う上で、高いコミュニケーション能力は欠かせません。クライアントとスムーズにコミュニケーションを取るだけでなく、ヒアリングを通して悩みや課題を引き出し、解決策をわかりやすく的確にプレゼンテーションするスキルが求められます。また、現状を可視化し解決策のロードマップをクライアントと作り上げる中で、担当者の気付き・改善マインドの醸成など、成長を促す役割を担うこともあります。
システム分野の理解
近年、経理業務の効率化のために、会計システムやツールなどを導入・活用する企業が増えています。そのため、クライアントの経理・財務などの業務理解に加え、システムや情報セキュリティについての理解も必要になってきています。業務改善につながるツールやパッケージ製品に関する知識があれば、コンサルタントとして活躍の幅が広がります。
経理コンサルタントは、専門的な知識をもって企業の経理業務の課題を解決へ導くことが主な役割となります。下記のような課題を抱えている企業は、経理コンサルタントの活用を検討してもよいかもしれません。
経理業務には専門的な知識が必要なため、同じ社員が同一の業務を担い続けて属人化しているケースが多く、他の社員からは業務がブラックボックス化している場合があります。経理コンサルタントを活用することで、業務の棚卸しや全体把握、業務効率化、デジタル化などの課題に専門的な視点からアドバイスを受けることができます。さらに、業務フローの改善などにより無駄が無くなることで、リソースの余裕が生まれ、経営分析等のより重要な業務に注力することができるようになります。
前述したように、公認会計士は会計監査が、税理士は税務書類の作成や会計業務の代行がメイン業務ですが、経理コンサルタントはこの2つの士業とは役割が異なります。ここでは、経理コンサルタントが企業にどのようなアドバイス・支援を実施しているのかを紹介します。
企業の経理業務を改善する具体的なアドバイス
経理コンサルタントは、企業が決算をまとめるための業務フローの見直しや、システム活用・ペーパレス化・コスト削減など、クライアントの優先課題に応じてカスタマイズした改善策を提案することが求められます。また、適切な内部統制を伴う業務設計や、既存業務の簡略化、組織間の役割見直しなども実施します。
管理会計のサポート
決算をまとめてステークホルダーに開示する制度会計に加え、経営判断に活用するための管理会計の導入や運用のサポートも行います。管理会計は、事業セグメントごとの状況など社外への開示に活用することもありますが、多くの企業では内部管理の目的で実施しています。そのため、チェック機能が働かないことや、企業内の慣例で非効率な運用になっているケースがあります。こうした状況を改善するために、経理コンサルタントが管理会計の改善を支援する事例も多くあります。
経理コンサルタントは、経理業務をより円滑に行うためのアドバイザーとなる存在です。アウトソースと異なり、経理業務の仕組みが改善・整備されることで、自社にナレッジが溜まるなどのメリットがあります。経理の課題解決や、業務の見直しを検討している場合は、経理コンサルタントの力を借りるのも一つの方法と言えるでしょう。