Peppol(ペポル)とは?電子インボイス制度との関連性など総まとめ
Peppol(ペポル)とは、電子データの文書を取り扱う際、ネットワーク上でやり取りするための世界基準の標準仕様です。
インボイス制度が施行された今、Peppolの概要や利用メリットなどが気になっている人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、下記の内容を紹介します。
- Peppolの概要
Peppolを利用した電子インボイスのフロー・仕組み
- 日本版Peppol「JP PINT」の特徴
- Peppolを利用するメリット
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Peppol(ペポル)とは?
Peppol(ペポル)とは、電子文書をネットワーク上でやり取りするための「文書の仕様」「ネットワーク」「運用ルール」に関する世界基準の標準仕様です。
「4コーナーモデル(※)」を採用しており、売り手と買い手それぞれに用意されたアクセスポイントにアクセスし、Peppolを介して適格請求書などのやり取りができます。
※4コーナーモデルに関しては、次項で詳しく解説します。
Peppolは「OpenPeppol」という国際的な非営利組織が管理しており、Peppolを採用している国は全世界で35ヵ国を超えました。
Peppolは電子データ取引の中継の役割を担っており、電子文書の標準化をおこなっています。
請求書や発注書を電子データ化してやり取りしている企業であれば、経理のシステムや会計ソフトから「Peppolネットワーク」に接続可能です。
「Peppolネットワーク」を介すことで、企業間の証憑書類のやり取りをスムーズにできるようになる点が、Peppolの大きな魅力と言えます。
Peppolを利用した電子インボイスのフロー・仕組み
先述のとおり、Peppolは「4コーナーモデル」を採用しています。
データのやり取りを4つのコーナー(C)を経由して実施する方法で、売り手と買い手が直接取引をすることはありません。
本項では、Peppolを利用した電子インボイスのフローについて、 自社が売り手ユーザー(C1)の場合を例に紹介します。
まず売り手ユーザー(C1) は、自身のアクセスポイント(C2)を通じてPeppolネットワークに接続します。
その後、Peppolネットワークを通じて買い手のアクセスポイント(C3)に電子文書のデータが送信され、最終的に電子データが買い手(C4)に届く仕組みです。
Peppolを利用する場合は、C2やC3のアクセスポイントを介してネットワークに接続します。
これにより、Peppolネットワークに参加しているユーザーであれば、誰とでも電子インボイスのやり取りが可能です。
やり取りしたい場合は相手のIDがわかれば良いので、非常に楽に取引ができるようになります。
Peppol(ペポル)とEDI取引の違いとは?
PeppolとEDIの違いは、電子インボイスを送るために必要な情報の差異です。
EDI取引とは、取引先とおこなう請求書や発注書などのやり取りを、インターネットなどを介して電子的におこなうシステムを指します。
広く普及しているものの、取引をおこなう両事業者がシステムを導入している必要がある点がネックです。
一方、Peppolは取引先のIDさえわかっていれば請求書や発注書を送付でき、両事業者が同じシステムを導入する必要はありません。
このことから、Peppolのほうが利用しやすさ、コストの低さで優れていると言えます。
日本版Peppol「JP PINT」とは?
「JP PINT」とは、Peppolをベースとした日本におけるデジタルインボイスの標準仕様です。
もう少し詳しく言うと、「売り手のアクセスポイント」と「買い手のアクセスポイント」との間でやり取りされる電子インボイスの標準仕様を指します。
この「JP PINT」 はPeppolとは違い、日本のデジタル庁が管理・主導しています。
デジタル庁だけではなく、デジタルインボイス推進協議会(EIPA)と連携しておこなっている、電子インボイスの普及のための取り組みの一貫です。
コンセプトとして「紙のやり取りを前提にしない」ことを掲げており、事業者がおこなう取引全体のデジタル化を目指しています。
参考:デジタルインボイスとは|EIPA(デジタルインボイス推進協議会)
Peppolを用いた電子インボイスを利用する4つのメリット
Peppolを用いた電子インボイスを利用するメリットは、下記の4つです。
順番に見ていきましょう。
メリット1.経理業務の効率化が図れる
インボイス導入にあたり、仕入税額控除(※)の計算が手間になるとされています。
その理由は、取引先が「課税事業者」「免税事業者」かによって控除の対象になるのかの振り分けが必要で、加えて複数税率ごとに分けて計算しなくてはならないからです。
※仕入税額控除とは
預かった消費税から自分が支払った消費税を差し引くこと。インボイス制度導入後、仕入税額控除の適用を受けるためには、インボイス(適格請求書)の保存が必要 |
現状、会計システムや会計ソフトは請求書などのデータの取り込みさえできれば、仕訳や仕入税額控除の計算は実施できるモデルが多いです。
しかしながら、企業ごとに違う請求書などのフォーマットやシステムを利用している場合があり、必ずしも取り込みができるわけではありません。
この問題の解消を見込めるのが、Peppolを用いた電子インボイスの導入です。
Peppolを利用すると規格が統一されるため、各会計システムがこの規格に対応することが予想されます。
そうなると「データの取り込み+計算」が自動化されて、経理業務を効率化できるはずです。
メリット2.電子インボイスでの取引負担が減る
Peppolネットワークを使えば、売り手から買い手のシステムへ自動で請求情報を送付できます。
請求書の送付にあたり、Peppolの規格に対応さえしていれば、利用する会計システムなどの指定はありません。
よって、取引企業間で同一のシステムにしたり、相手の規格に合わせたりすることで必要なコストの負担がなくなります。
自分たちが使い慣れた会計システムを継続して利用できるため、電子インボイスで取引する際の負担の軽減につながります。
メリット3.テレワークを推進できる
Peppolは、電子文書をネットワーク上でやり取りすることが前提です。そのため、会社に出社する必要はなく、テレワークでも請求書業務を遂行できます。
請求書などの証憑書類のやり取りを紙でおこなっていた企業にとっては、テレワークを推進する絶好のチャンスと言えるでしょう。
メリット4.海外とも取引しやすくなる
前述のとおり、Peppolは「世界基準の標準仕様」です。この仕様に沿ってさえいれば、海外との請求書のやり取りも問題なくおこなえます。
2023年10月現在、アメリカやイタリアなどを含めて35以上の国がPeppolを利用中です。
参考:Peppol Certified Service Providers|Peppol
海外との取引では、取引そのものはもちろん、請求書などのやりとりでも言語の壁が立ちはだかります。
Peppolネットワークを活用し、電子文書のやり取りに関する懸念材料がなくなるだけでも、ビジネス上のチャンスが広がると言えます。
Peppolの電子インボイスの保存にはクラウドシステムの利用がおすすめ
Peppolを利用した電子インボイスは便利ですが、Peppolネットワークのなかに適格請求書などを保存する機能や仕組みはありません。
したがって、適格請求書の保存要件を満たした証憑書類の保管は、自ら実施する必要があります。
また、電子的にやり取りした適格請求書を保存する際は、電子帳簿保存法の保存要件を満たさなければなりません。
そこでおすすめなのが、電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスの活用です。
例えば、NTTファイナンスの「楽々クラウド電子帳簿保存サービス」は、電子帳簿保存法のすべての保存区分に対応しています。
そのため、導入企業が電子帳簿保存法の内容を深く理解していなくても、法令に準拠した税務処理業務が可能です。
【楽々クラウド電子帳簿保存サービスが持つ強みの例】
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さらに、初期費用0円・月額900円から利用できるため、導入ハードルの低さもおすすめできるポイントです。
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Peppolを利用して電子インボイスの導入を進めよう
【本記事のまとめ】
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Peppolは、請求書や発注書などのやり取りがスムーズにできるようになる画期的な仕組みです。
「紙でのやり取りをなくしたい」「海外企業との取引を増やしたい」などと考えている方は、ぜひPeppolネットワークの利用を検討してみてください。
なお、2023年10月から施行されたインボイス制度では、今までのように請求書を発行していると買い手側が消費税の仕入税額控除を受けられません。
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