【保存版】令和8年度税制改正大綱|経理が押さえておくべきポイントもわかりやすく解説

令和7年12月26日に閣議決定された令和8年度税制改正大綱では、所得税控除や扶養控除、通勤手当・食事手当の非課税枠へのテコ入れなど、経理に関わる税制の変更が実施されています。そこで本記事では、令和8年度税制改正大綱における下記の内容を、経理担当者が押さえておくべきポイントと併せて紹介します。

  • 全体像
  • 所得税・住民税の改正
  • 個人事業主・中小企業向けの改正
  • 防衛財源・その他の改正

記事の最後には、押さえておきたい注目トピックも紹介しています。ぜひ最後までご覧ください。

※本記事の内容は2026年1月時点の情報です。本記事は「令和8年度税制改正大綱」の内容を参考にまとめていますが、今後行われる国会の審議で変更される可能性がある点にご留意ください。最新情報や個別の適用可否については保証できませんので、必ず公式発表や専門家の見解をご確認ください。

目次[非表示]

  1. 令和8年度税制改正大綱の全体像|改正の背景と影響範囲
  2. 令和8年度税制改正大綱1|所得税・住民税の改正
    1. 1.所得税の課税最低限が178万円に!基礎控除と給与所得控除の大幅引き上げ
    2. 2.扶養控除・配偶者控除の所得要件が62万円以下に緩和
    3. 3.ひとり親控除が35万円から38万円に拡充
    4. 4.通勤手当・食事手当の非課税枠が約40年ぶりに見直し
  3. 令和8年度税制改正大綱2|個人事業主・中小企業向けの改正
    1. 1.インボイス制度の経過措置「3割特例」が個人事業主に適用
    2. 2.設備投資で最大7%の税額控除「特定生産性向上設備等投資促進税制」の創設
    3. 3.賃上げ促進税制は中小企業向けのみ継続、大企業向けは廃止
  4. 令和8年度税制改正大綱3|防衛財源・その他の改正
    1. 1.防衛特別所得税が令和9年1月から新たに課税開始
    2. 2.国際観光旅客税が1,000円から3,000円に引き上げ
  5. 【補足】経理以外でも押さえておきたい注目トピック
  6. 令和8年度税制改正大綱の要点を把握してうまく対応しよう

令和8年度税制改正大綱の全体像|改正の背景と影響範囲

令和8年度の税制改正は、物価上昇への対応と防衛力強化の財源確保を柱として取りまとめられました。基礎控除の引き上げや設備投資減税など、個人・法人の双方に影響する改正が多く盛り込まれています。

影響範囲は下表のとおり多岐にわたりますが、本記事では経理担当者の実務に直結する改正を中心に解説します。

対象者

主な影響項目

本記事での解説

経理担当者

年末調整の控除額変更、源泉徴収税率、旅費精算基準

◯ 詳しく解説

法人・事業者

インボイス経過措置、設備投資税制、賃上げ税制

◯ 詳しく解説

個人(従業員)

NISA、暗号資産、住宅ローン控除

△概要のみ紹介

資産家・高所得者

相続税評価、贈与税、富裕層課税

△一部を紹介

令和8年度税制改正大綱1|所得税・住民税の改正

所得税・住民税に関するポイントは4つありますが、今回の改正で一番影響が大きいのは、「年収の壁」と控除の見直しです。

給与の手取りだけでなく、年末調整の判定や社内手続きにも波及するので、まずここから整理します。

1.所得税の課税最低限が178万円に!基礎控除と給与所得控除の大幅引き上げ

長年「103万円の壁」と呼ばれてきた課税最低限が、物価高への対応として令和8年度から178万円へと引き上げられて、75万円も上がりました。

改正の内訳(令和8・9年分の例)は、中低所得層(合計所得金額489万円以下)の場合、下記のとおりです。

項目

現行

改正後(特例適用時)

変動額

基礎控除(所得税)

48万円

104万円(※1)

+56万円

給与所得控除の最低保障額

65万円

74万円(※2)

+9万円

課税最低限(合計)

103万円

178万円

+75万円

(※1)本則の62万円に、令和8・9年分の特例加算42万円を加えた額
(※2)本則の69万円に、令和8・9年分の特例加算5万円を加えた額

背景は、物価上昇で控除の効きが弱まる問題(ブラケット・クリープ)への対応です。合計所得金額489万円以下は特例加算があるため、特にパート・アルバイト層は「物価高の中でも手取りを確保しやすくなる仕組み」といえます。

▼所得税引き上げに関する3つの注意点

1.所得制限に注意

  • 178万円の非課税枠が適用されるのは、合計所得金額が489万円以下の居住者に限られる
  • 489万円を超える場合は、基礎控除の加算額が段階的に縮小される
  • そのため、すべての人が一律で178万円まで非課税になるわけではない

2.「社会保険の壁」は別

  • 今回の改正はあくまで所得税に関するもの
  • 社会保険の扶養基準(106万円・130万円の壁)は連動して引き上げられない
  • 働き方によっては社会保険料の負担が発生し、手取りが減る可能性がある

3.令和10年以降の変更点

  • 178万円という金額には、令和8年分・9年分の特例加算が含まれている
  • 令和10年分以降は、基礎控除の加算額が37万円に調整されるなど、制度の仕組みが一部変更される予定

【経理担当者が押さえるべきポイント】

  • 事務負担軽減のため、令和8年中の月次給与の源泉徴収ではこの改正を反映せず、年末調整で一括調整する方針が示されている
  • 月次のシステム設定変更と年末調整での対応を切り分けて準備する必要がある
  • 同一生計配偶者や扶養親族の合計所得金額要件も、現行の58万円以下から62万円以下へと引き上げられる(所得税:令和8年分以降)
  • 年末調整時の課税最低限の確認基準が変わる点の把握
  • 従業員への改正内容の周知準備

2.扶養控除・配偶者控除の所得要件が62万円以下に緩和

基礎控除の引き上げに連動して、扶養控除や配偶者控除の対象となるための所得要件も見直されました。従来は合計所得金額58万円以下が条件でしたが、令和8年度からは62万円以下に緩和されています。

給与収入のみで換算すると、年収136万円以下であれば扶養親族として認められる計算です。また、勤労学生控除の要件も85万円から89万円へと引き上げられたため、大学生のアルバイト収入が増えても控除を受けやすくなりました。

経理担当者は年末調整時の確認基準が変わる点に注意が必要です。

【経理担当者が押さえておくべきポイント】

  • 扶養控除等申告書の確認基準の見直し(58万円→62万円)
  • 従業員からの「扶養に入れるか」といった問い合わせへの対応準備

3.ひとり親控除が35万円から38万円に拡充

ひとり親世帯への支援強化として、ひとり親控除の控除額が増額されました。所得税では現行の35万円から38万円に、住民税では30万円から33万円へとそれぞれ3万円ずつ引き上げられる方針です。

変更点

税目

現行

改正後

適用開始

所得要件

(扶養・配偶者・子)

所得税

58万円以下

62万円以下

令和8年分〜

住民税

58万円以下

62万円以下

令和9年分〜

ひとり親控除の控除

所得税

35万円

38万円

令和10年分〜

住民税

30万円

33万円

令和10年分〜


ポイントは、令和8年・9年は「対象者が広がる段階」、令和9年・10年以降は「実際の控除額が増える段階」と、段階的に制度が拡充される点です。

給与計算システムの設定変更や、従業員からの問い合わせ対応に備えて、経理担当者は改正内容を正確に把握しておきましょう。

【経理担当者が押さえておくべきポイント】

  • ステップ1:令和8年末の年末調整
    • 「控除額」はまだ35万円のままだが、「対象者(子)の判定基準」が所得62万円以下(給与収入なら136万円以下)へと緩和される
  • ステップ2:令和9年末の年末調整
    • 所得税の「控除額」が38万円にアップ。給与計算システムの設定変更が必要になるタイミング

4.通勤手当・食事手当の非課税枠が約40年ぶりに見直し

従業員への福利厚生に関わる非課税限度額も、長年の据え置きを経てようやく見直されました。特に注目すべきは食事支給の非課税枠で、1984年以来40年以上変わらなかった月額3,500円が7,500円へと倍増しています。

ただし、この非課税枠が適用されるには、「従業員が食事代の半分以上を負担していること」という従来の要件が引き続き前提となります。例えば、7,500円の弁当代を会社が全額補助する場合、この枠は使えず、全額が給与として課税対象です。

マイカー通勤者向けの通勤手当についても65km以上の長距離通勤者の非課税限度額が引き上げられました。昨今の食料品価格や燃料費の高騰を反映した改正であり、企業の福利厚生を通じた実質賃金の補完が期待されています。

通勤のために駐車場などを利用する場合、その料金相当額を月5,000円を上限として非課税限度額に加算できる仕組みが新たに導入されます。

【経理担当者が押さえておくべきポイント】

  • 会社負担額が7,500円以下であっても、従業員が食事代の半分以上を負担しているという条件を満たさない場合は、非課税にならない
  • 給与明細の非課税項目の上限設定の確認
  • 福利厚生制度(マイカー通勤の距離区分・駐車場代加算・食事補助)の見直し検討


ここまでの解説でも対応すべき点が多く、自社ですべてを解決するのは難しいと感じる方もいるでしょう。「できればまとめてプロに頼みたい」とお考えの方には、経理業務の課題解決をサポートする「経理業務コンサルティングサービス」を利用するのがおすすめです。

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令和8年度税制改正大綱2|個人事業主・中小企業向けの改正

個人事業主や中小企業に関わる税制も見直しが進みました。インボイス制度の負担軽減策から設備投資の優遇措置まで、事業者が知っておくべき3つの改正内容を解説します。

1.インボイス制度の経過措置「3割特例」が個人事業主に適用

インボイス制度の定着に向けて、個人事業主向けの新たな負担軽減策が設けられました。免税事業者から課税事業者になった個人に対し、令和9年および10年の課税期間について、売上消費税の3割納付で済む「3割特例」が適用されます。

法人については予定通り令和8年9月で2割特例が終了する一方、個人事業主には追加の猶予期間が与えられた形です。

また、免税事業者からの仕入税額控除の経過措置も延長されましたが、控除割合は下記のスケジュールで段階的に縮小されることが明記されています。

【経過措置スケジュール】
  • 令和8年10月1日~令和10年9月30日:70%
  • 令和10年10月1日~令和12年9月30日:50%
  • 令和12年10月1日~令和13年9月30日:30%


該当する方は納税資金の計画を早めに立てておきましょう。

【経理担当者が押さえておくべきポイント】

  • 取引先(個人事業主)の課税事業者の登録番号の取得状況をあらためて確認
  • 仕入税額控除の段階的な縮小スケジュールの把握


なお、当サイトではインボイス制度に関するお役立ち資料を無料配布しています。必要な対策を受注者・発注者に分けて解説していますので、ぜひダウンロードしてご確認ください。

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2.設備投資で最大7%の税額控除「特定生産性向上設備等投資促進税制」の創設

企業の「稼ぐ力」を高めるため、新たな設備投資促進税制が創設されました。5年間の集中投資期間(令和11年3月末まで)として、大臣が確認した投資計画に基づく大規模な設備投資を支援します。

簡単にいうと、一定規模以上の設備投資を行う企業の税金を軽くする制度です。

対象となるのは大企業で35億円以上、中小企業で5億円以上の投資で、年平均の投資利益率(IRR)が15%以上と見込まれる計画の認定が必要です。

項目

内容

投資規模の目安

  • 大企業:35億円以上
  • 中小企業:5億円以上

計画要件

  • 年平均IRR15%以上見込み
  • 計画認定

控除率

  • 機械装置等:7%
  • 建物・構築物:4%

控除上限

  • 法人税額の20%

未消化分

  • 3年間繰越可

例えば、今は世界情勢が不安定で投資に踏み切りにくい時期ともいえますが、この制度を使えば「今すぐ経費にして節税する(即時償却)」か「将来の利益から税金を引く(税額控除)」かを自社の状況に合わせて選ぶことが可能です。

【適用のための前提条件】

  • 中小企業以外の場合、「一定の賃上げ(1〜2%以上)」または「一定規模の国内投資(償却費の30〜40%超)」のいずれかを満たす必要がある
  • 設備を取得する前に、経済産業大臣から「投資計画」の確認を受けることが必須

【経理担当者が押さえておくべきポイント】

  • 設備取得「前」の計画認定が必須であることを経営層・現場へ周知(購入後の申請は不可)
  • 投資利益率(IRR)15%以上という要件を満たすための算定資料の準備と保存
  • 自社が前提条件(賃上げ要件や国内投資要件)をクリアできているかの事前シミュレーション

3.賃上げ促進税制は中小企業向けのみ継続、大企業向けは廃止

これまで幅広い企業を対象としていた賃上げ促進税制は、役割を終えた部分の整理が進められました。大企業向け措置は令和8年3月31日で廃止です。中堅企業(従業員2,000人以下)向けは給与増加割合の要件が5〜6%以上へと厳格化されています。

令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、税額控除を受けるための給与増加率要件が従来の3%から4%以上に引き上げられます。最大控除(+15%)を受けるには6%以上の賃上げが必要です。

一方、人手不足の中で「防衛的賃上げ」を余儀なくされている中小企業向けについては、現行の枠組みが継続される方針です。

ただし教育訓練費に係る上乗せ措置は廃止されるなど、制度の簡素化も図られました。今後は単なる賃上げから、労働生産性向上をともなう行動変容が求められる流れになりそうです。

【経理担当者が押さえておくべきポイント】

  • 自社区分(大企業/中堅企業/中小企業)の確認
  • 教育訓練費の上乗せ措置など、制度の簡素化・要件変更があるため、前年踏襲での判定ミスに注意

令和8年度税制改正大綱3|防衛財源・その他の改正

令和8年度改正には、防衛力強化のための財源確保や、その他の生活に関わる税制変更も含まれています。

制度ごとにスタート時期が異なるため、しっかりと確認しておきましょう。

1.防衛特別所得税が令和9年1月から新たに課税開始

防衛力強化に必要な財源を確保するため、令和9年1月から所得税に対して1%の新たな付加税が課されます。名称は「防衛特別所得税(仮称)」です。

ただし、東日本大震災の復興を目的とした「復興特別所得税」の税率が同時に1%引き下げられるため、当面のトータルの所得税負担率は変わらない設計になっています。復興特別所得税は適用期間を延長することで総額を維持する仕組みです。

給与計算システムの源泉徴収設定の変更が求められるため、経理担当者は対応スケジュールを確認しておきましょう。

【経理担当者が押さえておくべきポイント】

  • 源泉徴収システムの税率設定変更準備
  • 復興特別所得税との税率調整の理解

2.国際観光旅客税が1,000円から3,000円に引き上げ

日本から出国する際に課される国際観光旅客税が、令和8年7月1日から現行の1,000円から3,000円へと3倍に引き上げられます。この税金は航空券や船舶の運賃に上乗せされる形で徴収されるため、海外旅行や海外出張のコストが増加することになります。

出張費の予算管理を行う経理担当者は、令和8年7月以降の旅費精算基準の見直しを検討しておくとよいでしょう。

【経理担当者が押さえておくべきポイント】

  • 令和8年7月以降の海外出張旅費精算基準の見直し

【補足】経理以外でも押さえておきたい注目トピック

最後に、経理業務とは直接関連はしませんが、家計・資産形成・相続対策など、関心が集まりやすいポイントだけ、要点をまとめて紹介します。

ふるさと納税

  • 住民税の控除額に上限が設けられる
  • 対象:控除額が193万円を超える高所得層
  • 適用:令和9年中の寄附(令和10年度住民税)から

こどもNISA(令和9年スタート)

  • 年間60万円(限度額600万円)まで非課税で運用できる「未成年者特定累積投資勘定」が創設
  • 18歳で大人NISA枠へ統合

暗号資産課税の見直し

(遅くとも令和10年1月から)

  • 最大55%の総合課税から、一律20%の申告分離課税へ
  • 損失の3年繰越も可能に

住宅ローン控除

(令和12年まで延長)

  • 控除期間の延長と省エネ基準の厳格化
  • 適用期限が令和12年まで5年延長
  • ただし、令和10年以降はZEH水準などの省エネ基準を満たさない住宅は対象外となる見込み

贈与税

  • 祖父母などから孫への教育資金1,500万円までの非課税枠が、令和8年3月末で廃止


これらは経理の実務フローには直接影響しませんが、従業員から個人的な相談(雑談レベル)を受ける可能性が高い項目でもあります。「個人の確定申告や資産形成に関わる話」として、概要だけでも頭の片隅に置いておくとよいでしょう。

令和8年度税制改正大綱の要点を把握してうまく対応しよう

【本記事のまとめ】

  • 所得税の課税最低限引き上げや扶養・ひとり親控除、通勤手当・食事手当の非課税枠見直しなど、年末調整・給与計算まわりの実務に影響する改正が盛り込まれている
  • インボイス制度の経過措置が個人事業主にも適用されて、負担が軽減されている
  • 制度ごとに適用時期や要件が異なるため、早めに内容を把握し社内対応を準備しておきたい


令和8年度の税制改正大綱でも、経理担当者にとって対応すべき点は少なくありません。特に所得税の課税最低限が178万円に上がる件は、確実に押さえておきたい変更点です。
この記事を参考にして、それぞれの内容を把握して対応手段も一緒に把握しておきましょう。

今後も続く変化に柔軟に対応するためには、まずは現状の業務フローそのものを整理し、余裕を持てる体制を整えるのがおすすめです。「どこに時間がかかっているのか」「何がボトルネックなのか」を一度整理し、土台となる経理業務そのものを見直すことが、結果的に改正対応を楽にする近道になります。

例えば、NTTファイナンスの「経理業務コンサルティングサービス」では、経理業務の効率化を促進する方法をまとめた資料を無料で配布しています。

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参考資料1.令和8年度税制改正の大綱の概要|財務省

参考資料2.令和8年度税制改正の大綱 令和7年12月26日 閣議決定|財務省

参考資料3.令和8年度 税制改正要望事項|経済産業省

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