ENGINE STORY #12

グループを、もっとグローバルに。

NTTグループ向け外債発行プロジェクト

NTTグループの資金調達を、NTTファイナンスに一本化する取り組みが進んでいる。グループ唯一の金融中核会社として活躍してきたNTTファイナンスだが、その存在感はますます高まるばかりだ。背負う責任がふえれば、そこには新しいチャレンジが生まれる。外貨調達のための外債発行は、まさにそのチャレンジの代表例。グループのグローバル展開を支える役目を、果たせるか。

AYAKO YAMASHITA

財務部 資金部門
経済学部 経済学科 卒
2010年4月
入社。関東支店に配属。茨城県の一般リース担当として、官公庁・グループ企業・一般企業に対するリース営業を行う。
2013年7月
現職。外貨の資金調達を担当し、グループ向け貸付や航空機ファイナンス等に応じて銀行借入や社債発行を行う。

一本化で、グループ唯一に。

NTTグループのグローバル展開が加速している。理由は大きくふたつある。日本企業の海外進出を支えるため。そして、グループそのものがグローバル化することで、よりレベルの高いサービスを提供するため。

そこで重要性が高まっているのが、外貨、特にドルでの資金調達だ。そのための手法が、外債(外国債券)の発行。ここでいう債券とは、企業が資金を集めるための「借用書」のようなもの。それを外国市場で発行することで、現地の投資家からの資金調達を募ることができる。

いっぽうNTTグループでは、NTTファイナンスによる資金調達の一本化が進んでいる。各社がばらばらに資金を集めるのではなく、高い外部格付を誇るNTTファイナンスにその役割を集約する。そうすれば、より低金利で、効率よく資金を調達することができる。もちろん外債も、この取り組みの例外ではない。これまでは主に持株会社であるNTTが外債を発行してきたが、それをNTTファイナンスがかわりに受け持つことになった。

このプロジェクトを託されたのが山下だった。NTTグループを背負う調達役として、存在感を発揮するまたとない機会。どうにかして、NTTにもひけをとらないスケールの発行額を実現したい。だが、NTTとNTTファイナンスには決定的な違いがある。海外市場での知名度だ。

NTTグループの海外売上高
NTTグループの
海外資金調達一元化

新参者、NTTファイナンス。

投資とは、リターンが見込めるからこそ行うもの。正体のわからない初対面の相手では、二の足を踏むのがあたりまえだ。

海外市場においては、NTTファイナンスがまさにそういう存在だった。NTTなら、知名度も実績もある。けれどNTTファイナンスの実績といえば、2012年にたった一度、外債を発行しただけ。ほんの数年のブランクではあるが、市場の時間の流れは速い。数年でも離れてしまえば、戻ったときには新参者としてスタートするしかない。

新参者に必要なのは、自己紹介だ。証券取引所で閲覧される「目論見書」。そして、投資家へのプレゼンテーションに使う「IR資料」。大きくはこの2種類が、自己紹介のツールになる。NTTファイナンスの事業内容や業績、債券の発行額や利率などがそれぞれに記載され、投資家へのアピールとなる。もちろん、どちらも英語の書類だ。

この英語が、なかなかやっかいだった。たとえば目論見書は、基本的には有価証券報告書を英訳することで作成される。英訳は専門家が行い、山下がチェックするというフロー。だが上がってきたものを読み込んでみると、骨組みとしてはまちがいなく英語に移し替えられていても、ニュアンスが抜け落ちていたり、事業内容の説明があと一歩足りなかったりする。投資家をきちんと納得させるためには、そういった細部にこそ注意を払い、完璧に仕上げなければならない。山下は目を皿のようにして問題点を洗い出し、ていねいにつぶしていった。

780億円にホッとする。

とりわけ山下がこだわったのが、事業内容についての記載だった。NTTグループの中核をなす、唯一の金融企業。このポジショニングをはっきりさせれば、投資家にとって最大の納得材料になりえる。そのわかりやすい指標になるのが、グループ向けに運用している資産の額だ。山下は会計税務部門や企画部門など、社内の関連部署と密接に連絡を取りながら数字を集めていった。

こうしたプロジェクトは、関係者の数がどんどん膨れ上がる。山下が密接にやりとりしたのはリーガル関連の外部スタッフだが、そこにかぎっても日本法と英国法、ふたつの事務所とのコミュニケーションが必要だ。さらに証券会社があり、先に挙げたような社内の各部署があり、それぞれにどう手を動かしてもらうかの段取りだけでも一苦労。プロジェクトのスケールとは反比例するような繊細さで、ゴールまでの道筋を描かなければならない。

そのゴールがやってきたのは、2016年7月。第1回目の外債発行。その額、7億5000万ドル。当時のレートで約780億円という、目標水準をみごとにクリアする数字だ。山下は胸をなでおろした。社内的にも注目度の高かったこのプロジェクトは、期待を受けとめて上々の結果を出すことができたのだ。

山下のある一日

9:00
出社。証券会社からメールで届く、最新のマーケット情報をチェック。
11:00
グローバル事業部の案件に伴う、資金調達のための契約準備。
12:00
ランチ。
13:00
銀行や証券会社との打ち合わせ。
14:00
社債発行や借入など、調達手段別の金利想定水準を資料化。
15:00
社長プレゼン用の調達提案資料作成。
16:30
銀行との契約書類作成。
18:00
退社。

金融代表の、財務代表へ。

あくまでもこれは「第1回目」の外債発行だ。これから何度も、その機会はやってくる。そのひとつひとつが、NTTグループのグローバル展開を支える力になる。NTTグループによる海外企業の買収がメディアで報じられたりするたび、その資金の出どころを思って、山下はうなずく。

就活の時、山下はなかなか志望業界を絞り込めなかった。だからこそ金融業界を、NTTファイナンスを選んだ。金融は、あらゆる業界を支える力になれる。NTTグループだけにかぎって見ても、守備範囲は途方もなく広い。異動したばかりの頃は専門用語さえわからずにまごついていた山下だが、大きなプロジェクトをなしとげたいま、さらに広く深く、財務の知識を身につけたいと願っている。NTTグループを代表する金融企業の、代表選手になるために。