シェアードサービスセンター設立コンサルティング導入の背景
- 収益構造の抜本的見直し、企業体質強化のため、シェアードサービスセンター設立を検討することになった。
- 「シェアードサービスセンターは失敗事例が多い」と聞き、専門家の支援が必要だと考えた。
- シェアードサービスセンター設立のノウハウがなく、知見のあるパートナーを探していた。
導入効果
「シェアードサービスの手法とはなにか?」といった基礎的な知識から、業務の集約方法、DXを推進する際の注意点など多岐に渡るアドバイスを受け、段階的かつ着実にシェアード化を進めることができた。具体的効果として、伝票起票や確認業務を集約した結果、これまで1件約6分要した処理業務を2分半に短縮することに成功。今後、本社と全子会社の伝票処理業務を一元処理することで、将来的に、約4,600時間の業務時間削減効果を見込んでいる。
Before
- 検討当初は、「シェアードサービスセンターとは何か」といったことを深く理解できていなかった。
- 「ダスキンのシェアードサービスセンターとはどのようなものか」といった理念や方針が曖昧だった。
- 考え方も進め方もよくわからないまま、手探りで進めている状況だった。
After
- シェアードサービスセンターの基本的な考え方、設立や運営の進め方、業務を集約する際の手順、DXを進める際の注意点などが理解でき、自信を持って、着実にシェアード化を進められるようになった。
- ダスキンの経営理念である「道と経済の合一」に則ったシェアードサービスセンターの“心柱”を策定。「人の成長を追求すること」「長期的な視点を持つこと」「間接業務のナレッジ・ノウハウを蓄積し幅広く活用すること」などが盛り込まれた「シェアードサービスセンターの成長ビジョン」を定めた。
- 成長ビジョンを定めたことで、関係部署や子会社に、筋の通った、ブレない説明や協力要請ができるようになった。
- 実行計画等のNTTファイナンスの支援を活かして経理業務のデジタル戦略などを進め、伝票起票・確認業務に要した時間を1件6分から、2分半に短縮することに成功した。
お客様の声
Q.まずは貴社の概要についてお聞かせください。
沼波様:
当社は、掃除関連のサービスやフード関連のサービスを提供している企業です。掃除関連のサービスとしては、モップや玄関マットなどのレンタルや家事代行にエアコンクリーニングなど。ほかにも、緑と花のお手入れサービスや、お家のリペアサービスなども行っています。フード関連サービスとしては、主にミスタードーナツ事業を展開しています。
掃除、フードの両サービスに共通する特徴が、フランチャイズにてサービスを展開しているところです。日本でいちはやくフランチャイズシステムを採り入れ、確立し、そして創業60周年を迎えた現在もフランチャイズの可能性を追求し続けています。

Q.シェアードサービスセンター設立の背景や経緯についてお教えください。
沼波様:
当社の売上は訪販グループで約6割、フードグループで約3割という比率で構成されております。現在当社は長期戦略「ONE DUSKIN」のもと中期経営計画のテーマでもある企業価値の向上のための経営基盤の強化を図るべく、組織・事業等の管理体制の強化を目指しております。その一環として2020年の7月に大々的に社内で構造改革プロジェクトが始まり、そのなかの1つとして、のちにシェアードサービスセンターの設立につながる“効率化プロジェクト”がスタートしました。現社長の大久保 裕行がプロジェクトオーナーとなって、「業務効率化」「内部人材の活用」「キャッシュアウトの抑制」といった主に3つの点について議論と検討を進め、これらを実現する手法の1つとして、シェアードサービスセンターの設立を決定しました。
Q.なぜシェアードサービスセンターに着目されたのでしょうか? メリットや魅力についてお聞かせください。

沼波様:
当社は、35社超の関係会社を擁する企業グループです。これまでは、本社と子会社がそれぞれバラバラに、経理をはじめとするバックオフィス業務を行っていました。 先ほど申し上げたとおり、当社のビジネスの土台はフランチャイズです。ですから、比較的、規模が小さな子会社が多いのです。規模の小さな会社が個社でバックオフィス業務を行うと、やはりコストが膨らんでしまいます。であれば、集約して効率化しようと考えました。
シェアードサービスセンターのメリットや魅力は、なんといっても、当社のように、比較的規模の小さな会社が集まる企業体をより強力に効率化できるところです。バラバラに効率化するのではなくまとめて効率化ができるところ、スケールメリットを最大化できるところなどがよいと感じて、これに着目しました。
Q.外部のコンサルティングサービスを導入しようと思われたきっかけについてお聞かせください。
沼波様:
プロジェクトオーナーである現社長から、「シェアードサービスセンターは非常に失敗例が多いと聞いた。素人が手探りで進めるよりも、知見を持った外部のコンサルティング会社を入れたほうがよいのではないか?」と提案されたことがきっかけです。私も小野も、どのように進めたらいいかよく分からない中、迷いながら業務に当たっている状況でしたので、聞いてすぐに「是非、そうしたい!」と思ったことを覚えています。
NTTファイナンスは、普段からお付き合いのあったNTT西日本さんからの紹介で、そのほかにも、監査法人系やシステム系など、シェアードサービスセンターに知見のある数社をピックアップし、お声がけしました。
Q.なぜ複数社の中からNTTファイナンスを選ばれたのでしょうか? 理由や決め手についてお教えください。

沼波様:
NTTファイナンスに惹かれたのは、シェアードサービスセンターのコンサルティング実績が豊富だったからです。外部のお客様のシェアードサービスセンター立ち上げを支援するだけでなく、自らがNTTグループのシェアードサービス組織という点も、とても心強いなと思いました。机上の空論ではなく、自らの立ち上げ経験に基づく、血の通ったアドバイスがいただけるのではないかと思いました。
そしてなによりの決め手になったのは、BPO形式ではなく、「まずは本社内に内製で、シェアードサービスセンターを立ち上げましょう」とシェアードサービス手法の基本に忠実なご提案をくださったところです。他社の場合は「私たちにBPOしていただければシェアードサービスセンターを立ち上げられますよ」といったご提案がほとんどでした。
確かにBPOなら、手軽に、素早く、シェアードサービスセンターが立ち上げられます。しかし、私たちが目指していたのは、「内部人材の活用」や「キャッシュアウトの抑制」ですから、内部にノウハウが溜まらず、外注費が膨らんでしまうBPOは、どうしても避けたいと考えていました。
しかも、コンサルフィーについても、とてもリーズナブルでした。また、「シェアードサービスセンターの確立には長い期間がかかること」や「長期の伴走を考慮している」との点も、とてもありがたいと感じました。
Q.2021年の2月にNTTファイナンスをパートナーに選定し、同年4月にコンサルティングの受け入れをスタートされたとのこと。具体的にどのような取り組みをされたのでしょうか?
沼波様:
シェアードサービスセンターの実稼働と同時にコンサルティングに入っていただき、基礎的な知識から、基本方針の立案、成長戦略・人材戦略・組織戦略・デジタル戦略の策定、実行段階でのサポートやアドバイスまで、細やかに支援していだきました。
なかでも印象に残っているのが、キックオフ直後に行っていただいた“合宿”ですね。2日間、朝から晩までみっちりと時間を取って、NTTファイナンスの皆さんと我々で、シェアードサービスセンターについての勉強会やディスカッションを実施しました。
「そもそもシェアードサービスとはなにか」といったレクチャーから始まり、「シェアードサービスセンターを成功させるには、ミッション、ビジョン、行動指針や各種戦略といった“心柱”が必要だ」と教えていただいて、「では、ダスキンらしいシェアードサービスセンターとはなにか、心柱とはどのようなものか」をひたすら考え議論したことを記憶しています。

小野様:
それまでは自信が持てず、迷いながらやっていたのですが、“心柱”というキーワードを聞いて、「これだ!」と。我々にはこれが必要だと気付かされました。ダスキンには「道と経済の合一」という経営理念があるのですが、ここを基点にして心柱を考えていこうということになり、NTTファイナンスの皆さんといろいろな方向から揉んでいって、最終的にダスキンのシェアードサービスセンターらしいビジョンや行動指針が導き出せたと思っています。
心柱ができたおかげで、関係部署や子会社への説明が、しっかりと明確に、ブレずにできるようになりました。それまでは「本当にやれるのかなあ」「ピンとこないなあ」という雰囲気だったシェアードサービスセンターのメンバーの意識も変わって、シェアード実現に向けて、前向きに動き出したように思います。
沼波様:
他にも、「シェアードサービスセンターは、8段階ぐらいにフェーズを分けて進めて確立させていくとよい」「シェアード化が確立するまで10年かかった事例もある」というお話をお聞きしたことも印象に残っています。我々が当初考えていた以上に、課題の多いプロジェクトであることが理解でき、心構えができました。また、プロジェクトをスムーズに進めるためのWBSの活用法や、課題管理表の作り方など、手法について教えていただけたところもよかったですね。本当に、ゼロから、親身になってサポートしていただきました。今でも迷ったときは当時いただいた資料を見直すようにしています。

Q.約2年間、コンサルティングを受けてみて、どのようにお感じになっていますか? 率直なご感想や効果についてお聞かせください。
沼波様:
おかげさまでダスキン本社の経理伝票業務は100%、シェアードサービスセンターに集約できました。子会社2社の業務も集約済みという状況です。
また、集約に合わせて進めていたデジタルワークフローの導入も効果を発揮しています。これまではそれぞれの部署で紙の伝票を起票し、経理部門が確認・審査するという作業を行っていたのですが、これをデジタル化して集約したことで、1件の処理に6分かかっていたところを2分半に短縮することができました。グループ全社、年間8万件の伝票をすべてデジタルで集約できたら、年間約4,600時間の業務時間が削減できる見込みです。郵送コスト、人件費なども含めると、おそらく1,600万円程度の費用削減効果があるのではと考えています。
小野様:
ここまで来られたのは、NTTファイナンスの、親身なコンサルティングがあったからこそだと思います。もしNTTファイナンスのコンサルティングを入れていなかったら、「3〜4割が失敗する」と言われているシェアードサービスセンターの失敗事例になってしまったのではないかと⋯⋯。
我々が「子会社の支払いパターンが何種類もあって整理できない!」と頭を抱えていたところ、6種類のパターンに分類してくださったり、また子会社のミーティングに快く同席頂き、各種課題を整理してくださったりと、本当にフットワーク軽く、テンポよく動いてくださいました。お客様と受注会社という関係だけではなく、対等に、パートナーとして寄り添ってくださった。それがなにより嬉しく、力になりました。
