経理アウトソーシングの失敗例と対策|サービス選びのポイントも紹介
幅広い経理業務のアウトソーシングでは、業務フローを見える化し、自社のフローや課題解決に適したサービスを選ぶことが失敗を防ぐ重要なポイントです。
本記事では、経理のアウトソーシング導入による具体的な失敗例と対策から、自社にあうサービスの選び方とポイントまでまとめて解説します。
なおNTTファイナンスでは、業務棚卸・可視化、標準化、効率化の3ステップで経理業務のお悩みを解決する「経理業務コンサルティングサービス」を提供しています。
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目次[非表示]
- ・経理アウトソーシングの失敗例と対策
- ・失敗例1.予想外の出費が発生しコストがかさむケース
- ・失敗例2.自社との業務フローが合わないケース
- ・失敗例3.コミュニケーション不足によりトラブルが生じるケース
- ・失敗例4.専門知識不足から大きなトラブルが生じるケース
- ・失敗例5.セキュリティ対策不足が深刻な事態をまねくケース
- ・経理アウトソーシングの失敗を防ぐポイントと選び方
- ・ポイント1.段階的なアウトソーシングの導入と拡大
- ・ポイント2.信頼性と実績の確認
- ・ポイント3.サービス内容と料金体系の比較
- ・ポイント4.詳細な契約内容と業務範囲の定義
- ・ポイント5.コミュニケーション体制とアフターフォローの確認
- ・そもそも経理のアウトソーシングとは
- ・経理のアウトソーシングで失敗しないサービスを選ぼう
経理アウトソーシングの失敗例と対策
経理アウトソーシングは、適切に導入・運用しないと重大な失敗につながるおそれがあることを理解しておかなければなりません。
本章では5つの失敗事例を紹介し、失敗を防ぐにはどうすれば良いのか、その対策もセットでお伝えします。
- 予想外の出費が発生しコストがかさむケース
- 自社との業務フローが合わないケース
- コミュニケーション不足によりトラブルが生じるケース
- 専門知識不足から大きなトラブルが生じるケース
- セキュリティ対策不足が深刻な事態をまねくケース
なお、記事の後半で経理アウトソーシングを進めるべき背景や、アウトソーシングできる経理業務の範囲について解説しています。先に基礎知識を抑えたい方は、下記をクリックしてご覧ください。
失敗例1.予想外の出費が発生しコストがかさむケース
1つ目は、経理アウトソーシングを導入後、コストが増大してしまうケースです。
例えば、国内のみを想定して契約した場合、急きょ海外子会社の経理業務も対応する必要が生じると、英語や国際会計基準への対応などで追加作業が発生します。
また、当初の想定が500件/月の仕訳の場合、事業拡大で取引量が800件/月に増加し追加の仕訳処理が発生すると、契約内容によっては追加料金が発生してしまいます。
このような失敗を防ぐためには、契約内容を細かく確認し想定される追加業務について事前に話し合っておくことが必要です。
複数の業者から見積もりを取り、契約内容を比較検討する際に追加料金の項目なども確認しておきましょう。
失敗例2.自社との業務フローが合わないケース
2つ目は、経理アウトソーシングを導入しても、自社の業務フローとマッチせず失敗するケースです。
例えば、請求書発行タイミングが自社の営業サイクルと合わないと、売上計上のタイミングがずれてしまいます。
その結果、取引先からの入金が遅れ、自社の支払い能力に悪影響を与えるおそれがあります。
また、アウトソーシング先の決算スケジュールが自社の経営会議や報告のタイミングと合わないと、迅速な経営判断にも支障をきたしかねません。
このような失敗を防ぐには、導入前に自社の業務フローを細かく分析し、アウトソーシング先と十分にすり合わせを行うことが重要です。
失敗例3.コミュニケーション不足によりトラブルが生じるケース
3つ目は、アウトソーシング先とのコミュニケーション不足が深刻な事態に発展するケースです。
例えば、新規プロジェクトの開始にともなう経理処理の変更をアウトソーシング先に伝え忘れたとします。
数ヵ月分の会計処理をすべてやり直すことになれば、決算が遅れ取引先との関係にも影響がおよびます。
また役員報酬の変更に関して、変更時期や金額などをアウトソーシング先に伝え忘れると、過大な役員報酬とみなされ追徴課税につながることも考えられます。
このような失敗を防ぐには、アウトソーシング先の担当者と定期的にミーティングの場を設けるなどして、連絡体制を強化することが必要です。
社内でのアウトソーシング窓口を一本化することも、情報を確実に把握しやすくなるため効果的です。
失敗例4.専門知識不足から大きなトラブルが生じるケース
4つ目は、一般的な経理業務には精通していても、業界や業種など特有の会計処理に詳しくないことでトラブルになるケースです。
例えば、2021年から適用されている「収益認識に関する会計基準」では、収益をどのタイミングでいくらぐらい計上するか明確にルール化されました。
ただし、中小企業には「収益認識に関する会計基準」ではなく従来の「発生主義」や「実現主義」が使われることも認められています。
その仕組みを正しく理解していないと税務上のトラブルや罰金が生じかねません。財務報告の信頼性にも影響がおよぶ可能性もあります。
このような失敗を防ぐには、アウトソーシング先の専門性を十分に確認し、必要に応じて業界や業種の最新情報なども共有する機会を作っておくと安心です。
失敗例5.セキュリティ対策不足が深刻な事態をまねくケース
5つ目は、セキュリティ面でのトラブルが深刻な事態に発展するケースです。
例えば、アウトソーシング先のセキュリティ対策が不十分だったことで会計システムに不正アクセスが発生すると、顧客企業の銀行口座情報を盗み取られる可能性が出てきます。
アウトソーシング先の従業員の不注意で、顧客企業の財務データがインターネット上に流出すると、多額の賠償金を支払う事態にもなりかねません。
このような失敗を防ぐには、アウトソーシング先のセキュリティ対策を事前に十分確認することが重要です。
情報管理ポリシーの確認や従業員の教育、セキュリティ認証の取得状況、定期的な監査なども有効です。
経理アウトソーシングの失敗を防ぐポイントと選び方
経理アウトソーシングの失敗を防ぐために、下記5つのポイントを押さえておきましょう。
それぞれ詳しく解説します。
ポイント1.段階的なアウトソーシングの導入と拡大
経理業務のアウトソーシングは、段階的に導入することでリスクを最小限におさえられます。
例えば、給与計算などの一部の業務からスタートし、評価期間を経て給与計算業務と関わりの深い社会保険手続きの業務に拡大するケースなどです。
アウトソーシング後、その成果を評価し問題点があれば改善、再度評価してから範囲を拡大という流れで進めると、失敗のリスクを最小限に防げます。
ポイント2.信頼性と実績の確認
経理のアウトソーシングサービスを選ぶ際、重要なのは信頼性と実績です。
例えば、国際規格であるISO27001の認証があると、情報管理の基準を満たしている企業という判断基準にもなり得ます。
顧客の口コミや評判、過去の取引先の評価なども積極的に調査し、信頼性と実績があるサービスを選ぶのも経理アウトソーシングの失敗を防ぐ重要なポイントです。
ポイント3.サービス内容と料金体系の比較
経理のアウトソーシングサービスを選ぶ際は、複数のサービス内容と料金形態を比較しましょう。
例えば、「取引件数に応じて料金が変動するプラン」と「固定料金制のプラン」があるケースでは、自社の状況によってどちらが最適なサービスかが異なります。
取引件数の変動が大きい企業には固定プラン、安定している企業には変動プランのほうが合う可能性が高いです。
自社に最適なサービス内容と料金体系を見極めて選ぶことが、効果的な経理アウトソーシングにつながります。
ポイント4.詳細な契約内容と業務範囲の定義
経理のアウトソーシングでは、業務フローをもとに委託する範囲を明確にして、契約書に詳細を記載することが重要です。
例えば、仕訳入力業務に関する具体的な記載項目として、作業の納期や入力項目、エラー時の対処法などがこれにあたります。
詳細をすり合わせて記載することで、業務範囲や責任に関する認識のズレを防ぎ、リスクを抑えた経理アウトソーシングが可能になるのです。
ポイント5.コミュニケーション体制とアフターフォローの確認
先述したように、経理アウトソーシングの失敗を防ぐにはスムーズなコミュニケーションが不可欠です。
メールの返信にどれくらいの時間がかかっているか、電話やメールだけでなくチャットツールなども活用しているかどうかという点でも、コミュニケーション体制を判断できます。
さらに、税制改正や会計基準の変更の際には対応策を説明してくれるのか、自社で情報収集する必要があるのかを確認しておくと安心です。
充実したアフターフォローのあるサービスは、経理業務の質を継続的に向上させ長期的な視点で経営に貢献できます。
そもそも経理のアウトソーシングとは
最後にあらためて、経理業務のアウトソーシングにまつわる基本を確認しておきましょう。
なぜ経理アウトソーシングが有効なのか、どのような業務をアウトソーシングできるのかを理解しておくことも、失敗を防ぐ重要なポイントです。
経理アウトソーシングを進めるべき背景
経理業務のアウトソーシングを進めるべき背景は、主に下記の3つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
背景1.人材不足と人件費の増加
1つ目は、人材不足と人件費の増加です。
電子帳簿保存法の改正やインボイス制度の導入などにともない、経理業務は複雑化し負担も増加しています。しかし、下記のような背景により経理採用は難しく、人手不足になりやすいのが現状です。
【経理採用が難しい理由】
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また営業部門と違い、利益に直結しないことから、経理部門の人材確保は後回しになりがちです。
人材不足のため月末や年度末には残業が続き、その結果「経理は忙しい」というイメージが、さらに採用を困難にしているという悪循環もあります。
そこで、働く人々がそれぞれの事情に合わせた働き方を自分で選べるようになるための改革、つまり「働き方改革」を進めるのも有効な手段の一つです。
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背景2.クラウド型サービスの普及
2つ目は、クラウド型サービスの普及です。
近年、IT技術の発展やDXにより経理のデータはリアルタイムで共有できる環境になりました。クラウド上で作業できるため、場所を問わず業務の進捗を確認できるのは大きなメリットです。
また、セキュリティ強化によりデータの保護や業務の透明性が高まったことも普及の要因といえます。
クラウド型サービスの普及により、経理のアウトソーシングはこれまで以上に効率的かつ安全に進められるため、経理業務の最適化を図るうえで有効な手段となっています。
なお、経理業務の最適化については「請求から料金回収までの業務を効率化できるサービス」の導入もおすすめです。
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背景3.経営環境の変化
市場の変化や顧客ニーズ対応のため、経営環境が変わりつつあることも経理アウトソーシングを進めるべき背景の一つです。
例えば、介護サービスを展開している企業が競合の増加にともないサービスの多角化を検討しているケースなどです。
新たにデイサービスと配食サービスを始めるにあたり、経理業務の負担増が課題に。そこで、経理業務をアウトソーシングすることで、新規事業の立ち上げに集中しやすくなります。
経理のアウトソーシングは、こうした経営環境の変化に対応するための有効な手段になっており、企業の競争力向上にもつながっています。
業務効率化だけでなく、長期的に生き残る事業戦略を支えるうえでも重要な選択肢といえるでしょう。
アウトソーシングできる経理業務の範囲
経理のアウトソーシングは、さまざまな範囲に対応できます。
業務 |
業務内容の例 |
日常の業務 |
日々の売上や経費など、取引記録の入力 |
定期的な業務 |
給与計算や支払い、財務諸表の作成 |
専門業務 |
年次決算の実施、税務申告の準備と提出、監査対応のサポート |
まずは自社の経理業務を見える化し、どこのフローにどのような課題があり何を優先して効率化すべきか把握することが重要です。
下記の記事で、経理業務を見える化し、課題を解決するための対策を紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。
経理のアウトソーシングで失敗しないサービスを選ぼう
【本記事のまとめ】
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経理アウトソーシングでは、アウトソーシング先の専門知識や技術を活用することでデータの分析力が向上し、市場動向にいち早く対応できるようになります。
その結果、業務効率化だけではなく長期的な会社経営への貢献が可能です。
サービス内容や料金体系などを事前によく確認し、自社に合うアウトソーシングサービスを選びましょう。
なお、NTTファイナンスでは豊富な経験をもつプロのコンサルタントがデータを分析し、業務の見直しについて最適な提案を行う「経理業務改善コンサルティングサービス」を提供しています。
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