経理業務におけるAIの現状・展望は?活用例7選や求められる経理の役割も紹介
人材不足が深刻化するなか、経理部門においても業務効率化は最優先で取り組むべき課題です。近年、その解決策の一つとして、日々進化を遂げるAI(人工知能)が注目を集めています。
本記事では、経理業務におけるAI活用の現状を整理したうえで、AIを経理業務に活用するメリットや注意点、活用事例を解説します。
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※本記事の内容は、2025年3月時点の情報です。
目次[非表示]
経理業務に広がるAI活用の現状と展望・求められる経理の役割
株式会社LayerXが2024年に実施した調査によると、業務にAIを活用したシステムを導入した経理部門は24.3%にのぼることがわかりました。
AIを導入した業務のTOP3は下記のとおりです。
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加えて、「今後のAIの導入・活用が重要」と答えた経理担当者は57.8%と、半分以上が経理業務でのAI活用に積極的であることもわかっています。
今後も経理業務がAIによって自動化していく流れが続くと考えられますが、経理の仕事がなくなるわけではありません。
むしろ、AIにより定型的な業務の負担が軽減されることで、経理担当者にはより高度な判断業務や戦略的な役割が求められるようになると考えられます。例えば、下記のような役割です。
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今後は経理部門が中心となって他部門と連携し、デジタル化をリードしていく場面も増えると予想されます。
下記の記事では、大きな変化が求められるAI時代を生き抜くために、経理業務に求められるスキルやキャリアプランなどを紹介していますので、ぜひあわせてチェックしてください。
経理業務においてAIが得意なこと・不得意なこと
AI(人工知能)とは、人間の知能や問題解決能力をコンピューターで再現しようとする技術です。
そのなかでも、文章や画像などの新しいコンテンツやデータを創出することに特化した「生成AI」が近年普及してきており、ますますAIが代替できる業務の範囲は広がっています。
とはいえ、AIにも得意・不得意があります。まずは経理業務において、AIが得意な業務と不得意な業務を整理してみましょう。
得意 |
不得意 |
(業務例) |
(業務例) |
多くの場合、AIは学習したデータやパターンに基づいた、高速かつ高精度な処理に優れています。一方、創造性や倫理観を必要とする複雑な意思決定や、人間的な理解は苦手分野です。
経理業務にAIを活用する4つのメリットや注意点
AIの特性を理解したうえで、業務に活用するメリットとして下記4点が挙げられます。
メリット1.作業の効率化を図れる
専門知識を必要としない単純な定型業務をAIに任せると、担当者がコア業務に集中できるようになるのは大きなメリットです。専門性の高い経理人材の人手不足解消に役立ちます。
メリット2.ヒューマンエラーを削減できる
AIは単純作業やデータ処理を、高速かつ高精度で対応できます。もちろん人による最終チェックは必要ですが、手作業で発生しがちな勘定科目の分類ミスや計算ミスなどが減少するのはメリットです。
メリット3.属人化しやすい業務を標準化できる
過去データを学習させることで、簡単な分析や判断はAIでも行えるようになります。例えば、領収書の内容から勘定科目を判断する業務など、ある程度パターン化している作業はAIで自動化させるのがおすすめです。
専門知識や過去の経緯を知っている従業員以外もAIを活用して業務の判断がしやすくなるので、業務の属人化防止にも役立ちます。
メリット4.コスト削減と生産性向上が見込める
AI活用により人の手で作業する工数が減り、人的コストを削減できるのもメリットです。
専門知識をもつ従業員をコア業務に割り当てることができれば、生産性の向上や業務品質向上も期待できます。
AI活用の注意点
AIには魅力的なメリットがありますが、経理業務への導入時には注意点もあります。
注意点 |
対策 |
情報や作業結果の正確性 |
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最新の法令・会計基準への対応状況 |
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個人情報と機密情報の取り扱い |
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AIはあくまで補助ツール |
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便利なAIですが、正確性が求められる経理業務ではより慎重な精査が必要です。まずは単純な業務から、少しずつAI活用を進めていきましょう。
経理業務におけるAIの活用例7選
経理業務における、具体的な7つのAI活用方法を見ていきましょう。
繰り返しになりますが、AIの作業結果は常に正確とは限りません。作業結果の正確性や適合性の最終確認は、必ず人間が行うことを心がけましょう。
活用例1.請求書や領収書のデータ化
OCR(光学文字認識)技術と生成AIを組み合わせたAI-OCR技術を活用して、請求書や領収書のデータ化を効率化する方法です。
例えば、OCRで紙の請求書から文字情報を認識し、生成AIで請求書の各項目(日付・金額・品目など)を認識・データ化することができます。
手作業による領収書や請求書のデータ入力でかかっていた時間を大幅に削減し、入力ミスも最小限に抑えられるでしょう。
活用例2.仕訳や帳簿作成
経理部で日常的に行われる帳簿作成や仕訳業務を、AIで自動化する活用例です。入出金情報をAIが分析し、適切な勘定科目に自動で振り分けるので、担当者の手間は大幅に削減されます。
さらに、売上高の情報や経費などの情報を、社内から常に自動で収集できるようシステム構築すると、よりスムーズにデイリーの仕訳作業を進められます。
活用例3.データ分析のサポート
生成AIに、過去の予算・実績データや発生した差異パターン・原因を学習させることで、本来AIが苦手とされる非定型業務に分類される「分析作業」もある程度の精度で可能になります。
AIがメインで分析するというより、分析時の壁打ち相手として活用するのがおすすめです。新たな切り口で提案してくれる可能性があるでしょう。
予算・実績データの分析以外にも、財務分析や資金調達計画などさまざまな検討事項のサポート役として活用できます。
活用例4.レポート作成の補助
ChatGPTなどの生成AIを使用して、財務諸表データの要約や、グラフや表の説明文を生成する活用例です。決算書類を作成する際の「勘定科目の説明」や「注記事項の下書き」といった文章を生成することもできます。
ほかにも、下記のような活用方法があります。
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主要な財務諸表の自動作成から日常のちょっとした作業まで、AIを活用することでレポート作成の補助として幅広い活用が可能です。
活用例5.ミスや不正の検出
AIが過去のデータやパターンを学習することで、経理データ内の異常なパターンや不正な取引を自動で検出できることも、活用例の一つです。
ミスや不正を検出して担当者に通知する仕組みを構築すれば、担当者は一からデータをチェックしなくても効率的かつ迅速に対処できるようになります。
活用例6.決算書の翻訳
高度な翻訳能力をもつAIも多く存在します。最終的には専門家のチェックは必要ですが、例えば日本語の決算書の英語翻訳や、海外取引先からの英文資料の日本語翻訳などでAIが活躍するでしょう。
活用例7.問い合わせ対応
繁忙期には社内からの問い合わせが増加し、経理担当者の業務負担が大きくなりがちです。経理の基礎知識や業務マニュアルを学習させたAIチャットボットを導入すると、経理に関する基本的な問い合わせに自動で回答でき、経理担当者の不在時にも対応可能になります。
問い合わせをした側にとっても、回答を待つ間に業務がストップすることがなくなるので業務効率化に有効です。
ここまで経理業務におけるAI活用例を紹介しました。「まずは日常業務からAIを活用していきたい」と思った方は、こちらの記事で代表的な生成AI「ChatGPT」の具体的な経理向けプロンプトをご紹介しているので、ぜひご覧ください。
自動化により経理業務の効率化を実現した事例
最後に、経理向けのシステム導入で業務の効率化を実現した企業の事例を2つご紹介します。
事例1.支払業務の効率化で計860分/月の業務削減!|三菱地所株式会社様
1937年設立の総合不動産会社「三菱地所株式会社」様は、東京・丸の内に代表されるオフィスや商業施設などの開発・賃貸・運営管理をはじめ、多岐にわたる事業を展開しています。
NTTファイナンスの「法人"ビリングONE"」を導入し、支払業務の効率化を実現しました。
導入前の課題 |
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導入の決め手 |
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導入後の効果 |
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「法人"ビリングONE"」では、複数の拠点ごとにバラバラ届く通信費や公共料金などの請求書(払込取扱票)を1枚の電子請求書にまとめられるため、86枚分の紙の請求書をたった1枚の電子請求書に集約することができました。
それによって紙の請求書の処理にかかっていた作業が削減され、請求業務に関わっていた各支店・事業部門のメンバーは、空いた時間をコア業務に注力できるようになったそうです。
「法人"ビリングONE"」で課題を解決したほかの企業の事例を知りたい方は、下記のボタンをクリックして無料の導入事例集をダウンロードしてください。
事例2.集金業務の効率化で集金トラブル解消|株式会社イーナカプロジェクト様
出典:E-NAKA 英語専門塾
「株式会社イーナカプロジェクト」様は、主に高校生を対象に英語を指導している英語専門塾です。
NTTファイナンスの「楽々クラウド決済サービス」を導入し、集金業務の効率化や集金トラブルの解消を実現しました。
導入前の課題 |
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導入の決め手 |
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導入後の効果 |
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「楽々クラウド決済サービス」では、請求金額をシステム上に登録しておけば、あとは月に一度、正しく入金されているか確認をするだけ。収納状況もクラウド上で管理している生徒情報に自動反映されるので、どのご家庭から入金されているかが一目でわかります。
手間のかかる作業が自動化されたことにより、空いた時間を本来の業務に充てられるようになったそうです。
NTTファイナンスの「楽々クラウド決済サービス」は、顧客への請求金額を自動計算し、各金融機関へのデータ送付から集金までをクラウドで自動化できるシステムです。
便利な定額の自動請求機能にも対応しており、自治体・学習塾・Web制作会社など幅広い業種で選ばれています。
下記資料では、学習塾のほか3つの活用事例を紹介しているので、ダウンロードしてチェックしてみてください。
AIなどのツールを活用して、経理業務を効率化しよう!
【本記事のまとめ】
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経理部門でもAIを活用することで、これまで時間と手間がかかっていた単純作業を手放し、より専門知識を活かせる業務に集中できるようになります。
本記事で紹介したAI活用のメリットや注意点、活用事例を参考に、ぜひご自身の職場の効率化に取り組んでみてください。
AI活用も業務効率化に役立つツールの一つですが、より経理の自動化を推進したい方には、セキュリティや専門性を高めた経理向けのシステム/ツールの導入もおすすめです。
例えば「法人"ビリングONE"」は、支払期日がバラバラな通信費や公共料金などの請求書をNTTファイナンスが一度立て替え、お客さまへ一括請求するサービスです。
分散しがちな請求書を1枚の電子請求書(紙請求も可)にまとめることで、請求書が届くたびに月に何度も対応していた支払処理を1回に集約できます。
これまで時間を取られていた紙の請求書の開封や保管・入力・振込作業などの負担を軽減できるため、導入した多くの企業で経理業務の大幅な効率化を実現しました。
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