請求書のデータ化はメリットだらけ!4つの方法や注意点を総まとめ
請求書をデータ化すれば紙の書類は廃棄できるため、ペーパーレス化が可能になります。
しかし、請求書をデータ化するには一定の要件を満たす必要があり、法律への理解が欠かせません。
そこで本記事では、
- 請求書のデータ化に関連する法律
- 請求書をデータ化する方法
請求書をデータ化するメリット
請求書をデータ化する際に注意すべきポイント
などを紹介します。
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目次[非表示]
- ・請求書のデータ化は法律的に問題ない?
- ・【比較表付き】請求書を紙で保管する場合とデータ保管する場合の違い
- ・請求書をデータ化する4つの方法
- ・方法1.紙の請求書を自社で手入力してデータ化する
- ・方法2.自社で指定したシステムに取引先が直接入力してデータ化する
- ・方法3.導入したサービスのAI-OCRで自動的にデータ化する
- ・方法4.ベンダー選任のオペレーターが手入力してデータ化する
- ・請求書をデータ化する4つのメリット
- ・メリット1.請求書の保管スペースが不要になる
- ・メリット2.定型フォーマットにデータ化することで検索しやすくなる
- ・メリット3.請求業務の大幅な効率化につながる
- ・メリット4.業務効率化や印刷コストの削減により利益増大に貢献する
- ・請求書をデータ化する際に注意すべき5つのポイント
- ・ポイント1.電子データの削除や改ざんなどをしないことをルールとして備え付ける
- ・ポイント2.必要な情報をルール通り検索できる状態を作る
- ・ポイント3.一定の解像度・階調を満たすスキャナを用意する
- ・ポイント4.法律で義務付けられた年数が過ぎるまで保存する
- ・ポイント5.サービスを導入する際は自社に適したタイプを選ぶ
- ・請求書をデータ化するなら電子帳簿保存法に対応したシステムがおすすめ
- ・請求書をデータ化して企業の利益増大につなげよう
請求書のデータ化は法律的に問題ない?
結論からお伝えすると、請求書のデータ化は法律的にも認められた行為です。
従来、請求書は紙での保管が義務付けられていました。しかし、現在はデータだけでの保管も可能となっており、一定の要件を満たせば紙の請求書は破棄できます。
2022年に改正された電子帳簿保存法では要件の一部が緩和され、以前と比べてデータ化しやすくなりました。
請求業務の効率化やコスト削減につながることもあり、実際に多くの企業が請求書のデータ化を進めています。
e-文書法・電子帳簿保存法で請求書のデータ化が認められている
請求書のデータ化を認めている法律は、「電子帳簿保存法」と「e-文書法」の2つです。各法律の概要は、次のとおりです。
法律名 |
概要 |
電子帳簿保存法 |
|
e-文書法 |
|
つまり、電子帳簿保存法とe-文書法があるおかげで、従来紙での保存が義務化されていた請求書の「電子データでの保存」が可能となっています。
なお、請求書をデータ化する際は、法律で定められた要件を満たさなければなりません。
詳細に関しては、後ほど「請求書をデータ化する際に注意すべき5つのポイント」で解説します。
【比較表付き】請求書を紙で保管する場合とデータ保管する場合の違い
請求書をデータ保管するとさまざまなメリットを得られますが、紙での保管と比較した場合の違いは次のとおりです。
保管スペース |
作業負担 |
印刷コスト |
外部システムとの連携 |
|
紙での保管 |
必要 |
大 |
必要 |
不可 |
データ保管 |
不要 |
小 |
不要 |
可能 |
簡単にいうと、請求書をデータ化すれば無駄なスペースや作業の負担を一気に解決できます。
紙の場合はファイルに保管する「アナログ的な業務」が中心ですが、専用システムを活用すると会計ソフトなどの外部システムとも連携が可能です。
なお、請求書をデータ化するメリットは、後ほど「請求書をデータ化する4つのメリット」で解説します。
請求書をデータ化する4つの方法
この章では、請求書をデータ化する方法として次の4つを紹介します。
方法 |
費用面 |
精度面 |
作業負担面 |
◎ |
△ |
× |
|
△ |
△ |
◎ |
|
△ |
◯ |
◎ |
|
△ |
◎ |
◎ |
前提として、システムを導入する際は初期費用や維持費が必要です。
しかし、作業負担を大幅に減らせることからトータルコストを削減できるケースは多いです。
では、各方法の概要について解説します。
方法1.紙の請求書を自社で手入力してデータ化する
方法 |
費用面 |
精度面 |
作業負担面 |
自社でフォーマットに手入力 |
◎ |
△ |
× |
紙で受け取った請求書をスキャンし、入力フォーマットなどに手入力してデータ化する方法です。
自社で完結する分、外注費などは発生しません。
しかし、「請求書の数が多いほど作業負担が大きくなること」「手入力だとミスが発生しやすくなること」などがデメリットです。
また、自社でデータ化する際は電子帳簿保存法で定められた要件を満たす必要があり、完璧な状態でデータ化するのはハードルが高くなります。
方法2.自社で指定したシステムに取引先が直接入力してデータ化する
方法 |
費用面 |
精度面 |
作業負担面 |
取引先がシステムに直接入力 |
△ |
△ |
◎ |
自社で指定したシステムに、取引先が直接入力してデータ化する方法です。取引先の協力は欠かせませんが、依頼できる場合は大幅に作業負担を減らせます。
方法3.導入したサービスのAI-OCRで自動的にデータ化する
方法 |
費用面 |
精度面 |
作業負担面 |
AI-OCRで自動的にデータ化 |
△ |
◯ |
◎ |
OCRとは、画像データから文字部分を抽出し、文字データに変換する「光学文字認識機能」を指します。
なかでもAI-OCRは、AI技術を組み合わせたOCRのことです。
導入したサービスのAI-OCRで自動的にデータ化することで、紙の請求書を手入力する作業が削減されます。
方法4.ベンダー選任のオペレーターが手入力してデータ化する
方法 |
費用面 |
精度面 |
作業負担面 |
ベンダー選任のオペレーターが手入力 |
△ |
◎ |
◎ |
ベンダー選任のオペレーターが、自社の代わりに手入力してデータ化する方法です。
多くのサービスでは、AI-OCRがデータ化した後にオペレーターが確認して修正するパターンを取っています。
導入企業からすると、AI-OCRとオペレーターの組み合わせにより、作業負担の軽減だけではなく高い精度を期待できます。
請求書をデータ化する4つのメリット
請求書をデータ化するメリットは、主に次の4つです。
データ化すればどのような効果を得られるかがわかりますので、ぜひ参考にしてください。
メリット1.請求書の保管スペースが不要になる
請求書は法律で保管期間が義務付けられており、一般的に個人で5年・法人では7年間保管しなければなりません。
紙で保管する場合、やり取りする請求書の数が多いほど保管する量が膨大になってしまいます。
一方で、請求書をデータ化すれば保管スペースは不要です。請求書を確認するためだけに出社する必要もなくなるため、企業のテレワーク化にもつながります。
メリット2.定型フォーマットにデータ化することで検索しやすくなる
紙で保管する場合、膨大な数のなかから請求書を探し出す作業に時間を要してしまいがちです。
しかし、定型フォーマットにデータ化すれば簡単に検索できるため、請求書を探す時間が大幅に削減されます。
メリット3.請求業務の大幅な効率化につながる
請求書をデータ化すると、ファイリング作業や印刷作業をはじめ、請求業務の大幅な効率化が可能です。
会計システムなど既存の外部サービスと連携できるサービスの場合、仕訳作業も自動化できます。
サービスを導入する際は、自社で効率化したい機能が搭載されているかをチェックするようにしましょう。
メリット4.業務効率化や印刷コストの削減により利益増大に貢献する
ここまで解説してきたとおり、請求書をデータ化すれば業務効率化や印刷コストを削減できます。
負担が軽減された経理担当者は、空いた時間でコア業務に注力することが可能です。つまり、請求書をデータ化すると企業の利益増大につながります。
請求書をデータ化する際に注意すべき5つのポイント
請求書をデータ化する際に注意すべきポイントは、以下の5つです。
- 電子データの削除や改ざんなどをしないことをルールとして備え付ける
- 必要な情報をルール通り検索できる状態を作る
- 一定の解像度・階調を満たすスキャナを用意する
- 法律で義務付けられた年数が過ぎるまで保存する
- サービスを導入する際は自社に適したタイプを選ぶ
前述したように、請求書をデータ化する際は法律で定められたルールに従う必要があります。
自社でのデータ化を検討している場合は特に、注意点を確実に抑えなければなりません。では、ひとつずつ見ていきましょう。
ポイント1.電子データの削除や改ざんなどをしないことをルールとして備え付ける
請求書をデータ化する際は、電子データの削除や改ざんの防止策を講じなければなりません。
具体的には、以下のような対策が求められます。
|
なお、訂正削除の記録が残る/訂正削除ができないシステムを利用した場合、タイムスタンプは不要です。
ポイント2.必要な情報をルール通り検索できる状態を作る
2つ目は、税務署の監査などにおいて、必要な情報をルール通り検索できる状態を作ることです。
具体的には、以下の「検索要件」を満たす必要があります。
検索要件1 |
取引年月日、取引金額、取引先の3項目で検索ができること |
検索要件2 |
取引年月日、取引金額は範囲を指定して検索ができること |
検索要件3 |
2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて検索条件を設定できること |
なお、税務職員からのダウンロードの求めに応じる場合、上記2・3への対応は不要です。
ポイント3.一定の解像度・階調を満たすスキャナを用意する
スキャナ保存する際は、次の条件を満たすスキャナを用意する必要があります。
- 解像度が200dpi相当以上
赤、緑、青の階調が256以上(※)
ただし、電子帳簿保存法に対応したサービスでスキャナ保存を代行してもらえる場合、自社で専用のスキャナを用意する必要はありません。
※電子帳簿保存法におけるスキャナ保存制度の要件は「重要書類」と「一般書類」に分かれており、一般書類の場合はグレースケールでも問題ない
ポイント4.法律で義務付けられた年数が過ぎるまで保存する
請求書は紙での保存、データ保存に関わらず、法律で義務付けられた年数が過ぎるまで保存し続けなければなりません。
法人・個人事業主における一般的な保管期間は、次のとおりです。
法人 |
個人事業主 |
7年間 |
5年間 |
請求書の保管期間に関しては、下記の記事で詳しく解説してありますのでご参照ください。
ポイント5.サービスを導入する際は自社に適したタイプを選ぶ
請求書データ化サービスには、
- 自社でスキャンした後にデータを送信するタイプ
紙の請求書を送付してスキャン作業から代行してもらうタイプ
請求書の受け取り業務から代行してもらうタイプ
など、さまざまなタイプが存在します。
どの作業を効率化したいのかを明確にし、自社に適したタイプを選ぶことが大切です。
請求書をデータ化するなら電子帳簿保存法に対応したシステムがおすすめ
繰り返しお伝えしてきたように、請求書をデータ化する際は法律への理解が欠かせません。もし電子帳簿保存法に違反した場合、追加徴税や青色申告の取り消しのリスクもあります。
そこでおすすめなのが、電子帳簿保存法に対応したシステムの導入です。
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請求書をデータ化して企業の利益増大につなげよう
本記事のまとめ
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請求書をデータ化すると、業務効率化や印刷コストの削減により利益増大につながります。
しかし、請求書をデータ化するには一定の要件を満たす必要があり、法律への理解が欠かせません。