経理業務フローとは?6つの作成手順や効率化のポイントも紹介
経理は煩雑な業務が多く専門性も必要とされるため、属人化などのさまざまな問題が起こりやすい部門と言えます。
部門内の課題を見過ごしてしまうと、業務が停滞して企業全体に悪影響を及ぼしかねません。
そこでおすすめなのが、「経理業務フロー」を作成して業務を可視化し、課題を見つけやすくすることです。
本記事では、経理業務フローに関する下記の内容を解説します。
- 経理業務フローを作成するメリット
- 日次・月次・年次別の経理業務フローの例
- 経理業務フローを作成する手順
記事の後半では「経理業務フローを効率化するポイント」もお伝えしますので、ぜひ最後までご一読ください。
なお当サイトでは、経理DXを推進するメリットや進め方がわかる資料を無料配布しています。
「業務効率の向上」や「属人化の解消」などを求めている方は、下記のバナーをクリックのうえお気軽にダウンロードしてください。
\デジタル技術で業務フローを変革!経理DXガイドはこちら/
目次[非表示]
経理業務フローとは?作成するメリットも紹介
「経理業務フロー」とは、経理における業務の内容や手順を図で表したものです。経理部門の煩雑な業務内容を、日次・月次・年次ごとの業務フローに落とし込んで細部まで可視化します。
経理業務フローの作成によって得られるメリットは、下記のとおりです。
【経理業務フローを作成する主なメリット】
|
業務内容を細かく洗い出し、明確に可視化できると「業務が停滞しやすい部分」「進行に無理が生じている部分」なども見つけやすくなります。
業務フローの作成により、
- どの業務に時間がかかるのか
- 人員配置はふさわしいか
といったことも再考できます。
今まで曖昧になっていた業務が可視化され、重点的に改善することで業務の平準化やミス防止・作業効率の向上につながる点がメリットです。
また、経理業務フローはマニュアルとしても利用でき、全従業員が同じように成果を出せるようになるため属人化の解消にも効果的です。
日次・月次・年次別の経理業務フローの例
経理業務は大きく「日次」「月次」「年次」に分けられ、それぞれの業務が関連しています。日次で実施した業務のまとめを月次におこない、月次に実施した業務のまとめを年次におこなうイメージです。
そのため、経理業務フローも「日次」「月次」「年次」ごとに分けて作るのがおすすめです。本章では、簡易版の各業務フローの例を紹介します。
日次の経理業務フロー
はじめに、「日次の経理業務フロー」の例をご覧ください。
【経理業務フローの例:日次】 |
経理の日次業務は、日々のお金の動きを正確に記録・管理することが主な仕事です。具体的には、売上の入金や経費の記録・支払いなどをおこないます。
ルーティンワークも多い日次業務ですが、日次業務で日々記録されるデータをもとに月次業務・年次業務をおこなうこともあり、ミスは許されません。
なお、作成した帳簿や伝票は法律で保管義務が定められています。監査などがあった時にいつでも取り出せるよう適切に保管しておきましょう。
月次の経理業務フロー
月次の経理業務フローの例は、次のとおりです。
【経理業務フローの例:月次】 |
経理の月次業務では、その月に発生したお金の動きを計算してまとめたり、月次決算を通じて自社の財務状況をチェックしたりします。
また、従業員の給与計算や領収書・請求書の発行なども月次業務の一部です。
日々の業務のほかに月次業務が加わると、業務内容がさらに複雑になります。そのため、フローを作成して「業務が停滞している部分」や「人手が不足している部分」などを洗い出すことは非常に重要です。
年次の経理業務フロー
続いて、年次の経理業務フローの例は次のとおりです。
【経理業務フローの例:年次】 |
経理の年次業務は、1年のまとめに決算書を作成したり、従業員の所得税や法人税を計算・納付したりします。
なかでも企業の経営成績をまとめる「決算書の作成」は、経理業務全体でみても特に重要な業務です。
決算月の前後は、日次業務・月次業務に加えて決算整理作業などの煩雑な業務が増えるため、忙しい日々が続きます。
しかし、年次決算は法律で義務付けられていることから、業種や規模感を問わずすべての企業が必ず実施しなければなりません。
決算期に人手不足で慌てることがないように、あらかじめ経理の業務フローを整理して改善を図ることが大切です。
経理業務フローを作成する6つの手順
経理業務フローは、下記6つの手順に沿って作成するのがおすすめです。
ポイントは、業務全体を把握している者がフローを作成することです。
現状のタスクを把握し、業務ごとのつながりを理解している者が作成することで、抜け漏れのない適切なフローが完成しやすくなります。
手順1.作成する目的を明確にする
業務フローを作成する前に、作成目的を明確にしておきましょう。例えば、次のような目的です。
- 業務の属人化を防ぎたい
- 作業ミスを減らしたい
- 業務を可視化して効率化したい
- 作業工程を見直したい
このように目的をはっきりさせると「重点的に改善すべき業務はなにか」も考えやすくなり、経理業務フロー作成の価値も大きくなります。
なお、重点的に改善すべき業務を見つける上で「経理担当者が抱える悩み」を知っておくと、より精度の高い業務フロー作成につながります。
そこで当サイトでは、経理担当者にアンケートをおこなって得られた「経理部門の本音」がわかる資料を作成しました。
経理部門が抱える悩みを把握したい方は、下記のバナーをクリックのうえお気軽にダウンロードしてください。
\普段は❝なかなか言えない❞経理部門の本音がここに/
▲1分でダウンロード完了
手順2.業務内容の詳細を把握する
実際に経理業務フローを作成する際は、業務タスクを大きな粒度で分けることから始めます。
例えば、日次業務に含まれる「預金・現金管理」についてのフローを作成したい場合、まずは銀行振込入金や支払いなど、大きな粒度で全体像を把握します。
次に、大きな粒度で洗い出した業務内容をさらに細かいタスクに分けましょう。粒度の大きいタスクから細分化することで、経理業務の全体を網羅できます。
そして、抜け漏れを防ぐためにも業務内容を「日次」「月次」「年次」に分け、下記のように表で整理して洗い出しましょう。
業務頻度 |
業務内容の例 |
日次業務 |
経費精算 売上集計 帳票の作成 仮払金の管理 預金・現金管理 |
月次業務 |
在庫管理 給与計算・支払い 買掛金や売掛金の管理 領収書や請求書の発行 源泉徴収税や社会保険料の納付 |
年次業務 |
賞与計算 年末調整 各種税金の納付 償却資産の実査 決算書類の作成・確定申告 |
この際、すべての業務内容を平等に可視化できるよう「業務分類別」「案件別」「ツール別」など観点や粒度を揃えて洗い出すのがおすすめです。
手順3.さらに粒度を下げて業務を洗い出す
続いて、上記で分けた業務内容を、さらに粒度を下げて洗い出していきます。
例えば「預金・現金管理」のなかには銀行振込支払い業務があり、さらに粒度を下げると下記のようなタスクが含まれます。
- 支払精査
- 支払実行
- 支払計上
繰り返しにはなりますが、このように粒度の大きなタスクを徐々に細分化することがポイントです。
手順4.作業工程ごとのタスクを確認する
次に、手順3までで洗い出した業務をひとつずつ確認し、各業務の工程にどのようなタスクが含まれているのか確認します。
例えば、銀行支払業務のなかの「支払実行」には下記のようなタスクが含まれます。
そして、細分化したタスクを「誰が」「いつ」実施しているかも洗い出しておきましょう。業務で発生するタスクを洗い出す方法としては、次のようなものがあります。
- 立会調査:実際におこっている作業を目で確認する
- 口頭確認:担当者から口頭で説明してもらう
- 業務調査票:担当者に業務内容を記入してもらう
手順5.洗い出したタスクを時系列で並べ替える
手順1から4までを順番に洗い出したあとに実施するのは、業務フロー図として書き表す作業です。
例えば、現金・預金管理のなかの「銀行振込支払い」のタスクを細かく分けたものを、下記のようなフロー図に起こします。
このとき、実施している順にフロー図を書き込みながら業務の担当者も記載しておきましょう。
そして、業務フロー図が完成したあとは「業務内容に間違いがないか」「記載漏れはないか」を、実施している担当者にチェックしてもらうのが理想です。
手順6.効率化できる業務がないかチェックする
すべての業務フローを可視化できたら、業務内容を効率化できる部分がないか確認します。
業務フロー作成のメリットは、煩雑な業務内容を整理して問題点の抽出がしやすくなる点です。問題点や効率化できる業務が浮き彫りになったら、優先順位をつけて課題解決に取り組みましょう。
なお、NTTファイナンスでは、経理業務フローの作成代行も含めた「経理コンサルサービス」を提供しています。
経理のプロフェッショナルがお客様の課題を分析し、業務の可視化や効率化を実現すべく最適な解決策を提案いたします。
業務効率化のサポートが気になる方は、下記のバナーをクリックのうえお気軽にご相談ください。
\NTTグループ900社超えの経理のプロフェッショナルがサポート!/
経理業務フローを効率化する4つのポイント
ここからは、経理業務フローを効率化する4つのポイントについて解説します。
自社の課題とマッチするものから取り組んでみてください。
ポイント1.ペーパーレス化を促進する
経理は請求書や領収書など「紙の取り扱い」が多い部門です。
そこでペーパーレス化を促進することで「印刷」や「封入」「郵送」などの作業が削減され、業務効率化やコスト削減につながります。
また、2022年に改正された電子帳簿保存法では、電子メールなど電子的にやり取りした取引情報を電子のまま保存することが義務化されました。
この法改正により、電子的にやり取りした取引情報を紙で管理している企業は、法律で定められた保存要件に則って適切に電子保存しなければなりません。
当サイトでは、電子帳簿保存法の改正ポイントと対策について解説した資料を無料配布しています。
保存方法のルールを押さえたい方は、下記のバナーをクリックのうえお気軽に資料をダウンロードしてください!
\保存要件の概要はコレひとつでOK!/
ポイント2.キャッシュレス化を促進する
小口現金の使用は、小銭を数えたり現金出納帳へ記帳したりといった管理業務が煩雑になりがちです。
小口現金を廃止してキャッシュレス化を促進すると、これらの煩雑な管理作業から解放されて効率化につながります。
キャッシュレス化を進める方法としては、
- コーポレートカード(法人用クレジットカード)を導入する
- 電子マネーで経費精算をおこなう
などが挙げられます。
ポイント3.ITツールを導入する
経理部門は定型業務も多く、業務の自動化を進めやすい部門です。請求書管理システムや電子帳簿保存システムなどのITツールを導入して自動化することで、大幅な効率化につながります。
例えば「法人"ビリングONE"」は、毎月バラバラに届く通信費や公共料金などの請求書をNTTファイナンスが一度立て替え、一括でお客さまに請求するサービスです。
分散しがちな請求書を1枚の電子請求書(紙請求も可)にまとめることで、支払い処理を1回にできます。
また「法人"ビリングONE"」は、インターネット環境があればどこでも処理できるため、リモートワークでの経理処理も可能です。
詳しくは下記のボタンから、お気軽にサービス資料をダウンロードしてください!
\請求書管理・支払いを自動化できる!/
▲初期導入コスト無料!
ポイント4.経理アウトソーシングを利用する
経理アウトソーシングとは、自社の経理業務を外部に委託することです。具体的には、下記のような業務を委託できます。
【経理アウトソーシングで任せられる業務の例】
|
経理業務フローを作成し、業務内容の詳細を把握できると「自社で実施する業務」と「外部へ委託すべき業務」がわかりやすくなります。
- プロに委託してコア業務に集中したい
- 人手不足を解消したい
などとお考えの方は、ぜひ経理アウトソーシングの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
なお、下記の記事では経理アウトソーシングのメリット・デメリットや料金相場などを紹介していますのでご参照ください。
次の記事では、おすすめの経理代行サービスや失敗しない選び方をまとめていますので、併せてチェックしてみてください。
フローを作成して経理業務を効率化しよう
【本記事のまとめ】
|
フローの作成で業務内容を細かく洗い出し、明確に可視化できると「業務が停滞しやすい部分」や「進行に無理が生じている部分」なども見つけやすくなります。
そして、課題になっている部分を重点的に改善することで業務の標準化やミス防止・作業効率の向上にもつながります。フローを作成して経理業務を効率化させましょう。
なお当サイトでは、経理関連のお役立ち記事を発信しています。気になるものがあれば、ぜひチェックしてみてください。
▼経理業務を自動化するメリットや具体的な方法が知りたい方はこちら
経理業務を自動化する3つの方法!メリットやポイントなど総まとめ
▼経理業務でよくある課題や改善方法をまとめた記事はこちら
経理業務でよくある4つの課題とは?改善方法や手順、事例など総まとめ
▼経理業務を効率化するメリットや具体的な方法が知りたい方はこちら
【事例あり】経理業務を効率化する5つの方法!メリット・注意点まで完全ガイド