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ENGINE STORY #08

エアラインを、両翼で支える。

海外エアライン向け航空機担保リースプロジェクト

航空産業が右肩上がりだ。2016年、世界の航空旅客数は37億人と過去最高。中でも、アジアと中近東地域では高い伸び率を示している。エアラインの航空機調達を支えるNTTファイナンスにとっても、これは追い風だ。ただしライバルは多い。好調を見込んで、新たに参入する企業も増えている。これまでの実績に加え、いっそうプレゼンスを高めるような成功を重ねていかなければならない。地道に。ていねいに。そして、ちょっとダイナミックに。

HIROKI YOSHIYA

グローバル事業部 航空機・船舶ファイナンス部門
経済学部 経済学科 卒
2012年4月
入社。関東支店に配属。法人企業に対するリースやファイナンスの営業を行う。
2013年4月
新潟支店に異動。
2015年7月
海外トレーニーとして、香港を拠点とするグループ会社に勤務。事業企画や保険分野の業務を担う。
2016年7月
現職。国内・海外のエアラインをメインにした航空機担保ローン案件に従事。

NATSUKO KURAYA

グローバル事業部 航空機・船舶ファイナンス部門
商学部 卒
1997年4月
入社。中国支店に配属。グループ企業に対して、通信機器を中心にしたリース営業を行う。
2000年4月
国際営業部に異動。海外子会社の決算・入出金等の管理業務を手がける。
2001年5月
財務部へ異動。国際営業部での業務を引きつぎながら、その後、調達担当としてCP発行等を手がける。
2005年7月
東京支店(のちの提携営業部)へ異動。再びリース営業として、通信機器を中心にした営業活動を行う。
2009年4月
企画部へ異動。統合リスク管理室として信用リスクの計量、責任規程の管理を行う。
2014年4月
グローバル事業部 事業企画部門へ異動。事業計画や規程等の運営管理、社内金利、各種統括業務を行う。
2017年4月
現職。グローバル事業部 航空機・船舶ファイナンス部門にて、航空機ファイナンスの営業を行う。

国際情勢という乱気流。

プロジェクトのきっかけは、2015年にまでさかのぼる。

そのころ吉屋は、欧州のエアラインに対する航空機ファイナンスに携わっていた。購入予定の航空機を担保としたローン案件。一機あたりの価格が最大250億円にもおよぶ航空機の場合、アレンジャー(幹事会社)のもとで複数のレンダー(ローンを出す企業)がシンジケートを組むことが多い。この時も海外の銀行がアレンジャーをつとめ、NTTファイナンスはそこに集まったレンダーの1社だった。

当時は国際情勢に不透明な部分が多く、プロジェクトを不安視する声もあった。NTTファイナンス内でも議論が持ち上がったが、さいわいエアラインの財務状況が良好だったため、予定通りに進めることでゴーサイン。ところが、ほかでもないアレンジャーが「抜ける」と言い出してしまった。

アレンジャーが出すはずだったローンが消えると、あたりまえだが航空機の購入資金が不足する。エアラインの事業計画そのものが空中分解してしまう。そこで、かわりのレンダーさがしに奔走したのが吉屋だった。結果的にはどうにかローンを取りまとめることができ、航空機は無事にエアラインに渡った。

 業界の語り草にもなったこのトラブルは、NTTファイナンスの株を大きく上げた。案件完了から間を置かず、同じエアラインから次のプロジェクトへの誘いがかかったのだ。今度は、NTTファイナンスがアレンジャーとして。

エアラインとレンダーの間で。

JOL(日本型オペレーションリース)というしくみがある。たとえばNTTファイナンスが、100%出資のSPC(特別目的会社)を設立する。そこに金融機関や投資家からの資金をプールし、航空機を購入。エアラインへとリースする。エアラインにとっては税制面のメリットが大きく、世界的に人気の高い手法だ。

このJOLを組成する「エクイティチーム」と、吉屋がいる「ローンチーム」。これまでは同じ案件を手がけることがなかったのだが、今回はついに両翼での協働に踏み切った。エアラインからすれば、別々の企業に委託するよりも手間が格段に減るうれしさがある。NTTファイナンスにとっては、アレンジャーとしての負担は増えるものの、パッケージで案件を引き受けられるというアピールにつながる。

その一方で吉屋は、ローンを出す企業=レンダーさがしに取りかかった。提案までの猶予は1ヶ月。国内外から40社ほどの候補をピックアップし、あわただしくアプローチを行う。電話での説明のほか、検討用の資料を英語でまとめるのも吉屋の仕事だ。レンダーの目は厳しい。エアラインの経営状況をにらみ、ローンの利率と付き合わせ、参加するに値するプロジェクトかどうかを判断する。やや落ち着いてきたとはいえ、国際情勢によるリスクもくすぶっていた。だからといって、レンダーに対して条件をゆずりすぎると、今度はエアライン側が首を縦に振らない。

さらにややこしいのは、レンダー各社はライバルにもなりうることだった。検討用とはいえ、情報を出しすぎるとNTTファイナンスの手のうちを明かすことになる。最悪の場合、勝手にエアラインにアプローチされることもなくはない。いまどき珍しく好況に沸いている航空業界は、激しい競争の舞台でもあるのだ。あらゆる面で、慎重にバランスを見極めなければならない。吉屋は課長である倉谷にくりかえし相談を持ちかけつつ、慎重に交渉を進めていった。

JOL
(日本型オペレーティングリース)

真夜中のランチミーティング。

いよいよ契約が佳境にさしかかると、弁護士をまじえての詰めの交渉が増えていく。

エアライン、エクイティチーム、ローンチーム。それぞれにアドバイザーとして弁護士を迎え、電話を通じた会議の席を持つ。弁護士たちの拠点は、ニューヨーク、ヨーロッパ、日本、シンガポールとさまざまだ。距離が離れるほど時差もふえ、会議時間のアレンジさえ大ごとになる。たとえばニューヨークと日本では、まるまる半日の時差がある。向こうがランチミーティングのように設定した正午の電話会議が、こちらにしてみれば真夜中だったりもする。

飛び交うメールの数も膨大になる。たった2時間ほど席を離れてからパソコンを開くと、50件以上の新着で画面が埋まっている。しかもすべて英語だ。吉屋には、香港での海外トレーニー経験があった。おかげで、それなりに英語を操れるようにはなっている。それでも、専門用語だらけのメールには手を焼いた。

「航空機といえば派手に聞こえるけど、華やかさなんてひとつもない」と倉谷は笑う。「1500ページもの契約書をまとめるために、ひたすら話し合う。日本語でも難しい交渉を、英語でやる。そこには地道さしかない」。

吉屋のある一日

9:00
朝までに届いていたメールの確認。やるべきことの洗い出し。
10:00
契約書の内容についてチームと話し合う。新規の入札依頼に対して、各部署へのヒアリング、キャッシュフローの検討も。
12:00
ランチ。
13:00
午前中にチームと話し合った内容をクライアントへ展開。
14:00
弁護士と意見交換。
16:00
このあとの電話会議に向け、未解決事項のチェック、チームとの相談、上長への確認。
17:00
電話会議。
18:00
退社。

倉谷のある一日

9:00
朝会と管理者ミーティングに参加。
9:30
メールチェック。確認中にも次々に届くメールに対応。
12:00
ランチ。
13:00
課長としての報告者作成。夕方の電話会議に向け、メンバーとの話し合いなど。
17:00
電話会議。
18:00
退社。

地道で、
ダイナミック。

それでも倉谷には、達成感にひたれる一瞬がある。クロージングコールという、契約の最終確認を行う場だ。倉谷はもちろん、プロジェクトに関わったメンバーたちなど関係者が電話会議で集まり、弁護士が項目をひとつひとつ読み上げていく。さんざん議論して確定ずみの内容だけに、セレモニーとしての意味合いが強い。「NTT Finance, Confirm.」。承認のひとことを告げると、ようやく肩の荷が下りる。プロジェクトをまとめ上げたうれしさからか、その夜はなかなか寝つけない。  

だが、余韻を味わっているヒマはない。倉谷も吉屋も、こうしたプロジェクトをいくつも抱えている。ほんの時々、吉屋は自分が手がけた航空機が大空へ飛びたつシーンを想像する。「その時だけは、ダイナミックな仕事だなと思う。でも、一瞬で我に返ります。次があるから」。  

航空機というシンボリックな商材から、花形のように見られやすいプロジェクト。実際には、時間に追われながら、粘りづよく積み重ねていくことでしか成功はない。けれどそのひとつひとつが、NTTファイナンスにとって、そして世界のエアラインにとって、かけがえのない「翼」になっていく。