経理で電子化できる業務・5つのメリット・導入ステップを完全ガイド
経理業務の電子化とは、デジタル技術を活用して経理業務をおこなうことを指します。紙ベースの経理業務を電子化することで、作業効率の向上やコストカットなどに効果的です。
そこで本記事では、経理業務の電子化に関する下記の内容を解説します。
- 経理部門で電子化できる業務の例
- 経理業務を電子化するメリット・デメリット
- 経理業務を電子化する4ステップ
なお、経理業務の電子化で欠かせないのが、電子帳簿保存法への正しい理解です。国税関係帳簿・書類を電子化する際は、法律で定められた保存要件を満たす必要があります。
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目次[非表示]
経理業務の電子化が進んでいる
これまでの経理部門は、紙を扱う業務が中心でした。しかし現在では、紙でのやり取りを電子化する動きが進んでいます。
経理業務で電子化が進む背景にあるのは、電子帳簿保存法の存在です。電子帳簿保存法の改正で保存要件が緩和され、国税関係帳簿・書類の電子データ保存がしやすくなりました。
そこでまずは、電子帳簿保存法の概要を解説します。
電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法とは、所得税法や法人税法に関わる帳簿・書類に関して、電子データでの保存を認める法律です。
電子帳簿保存法には、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つの区分があります。それぞれの概要や対象となる文書の例は、下記のとおりです。
電子帳簿保存法は、電子データの処理や管理する人への負担を軽減するために、これまで何度も改正されてきました。
もし電子帳簿保存法に違反した場合には、追徴課税を課せられたり青色申告の承認が取り消されたりするリスクが潜んでいます。
請求書や領収書などをデータ保存する際は、電子帳簿保存法で定められた保存要件を満たす必要があることを理解しておきましょう。
なお、電子帳簿保存法の3つの区分のイメージは、国税庁から出ている下記の図でも確認できます。
電子帳簿保存法の改正による経理業務への影響
電子帳簿保存法は、直近だと2022年1月に改正されています。この改正で保存要件が緩和され、経理部門でも電子化を進めやすくなりました。
電子帳簿保存法の大きな変更点は、下記の4つです。
なかでも注目すべき内容は、すべての事業者に「電子取引情報」のデータ保存が義務化されたことです。
「電子取引情報」には、ペーパーレスFAXや電子メールで授受した見積書・請求書などが該当します。
これらの取引情報は、紙に印刷して保存するのではなく「電子データ」のまま保存しなければなりません。
さらに、今回の法改正では「事前承認制度」が廃止されました。これにより、税務署への手続きや申請書・添付書類作成などの手間がなくなり、電子帳簿保存法を導入しやすくなっています。
また、国税関係の帳簿や書類の電子データ保存には「データが改ざんされていないこと」の証明が必要ですが、この証明手段として使用されるのがタイムスタンプです。
【タイムスタンプとは】
付与することで、下記の2つを証明できるもの
|
2022年1月の法改正では、このタイムスタンプの要件が緩和され、付与期限が以前の「3営業日以内」から「最長2ヵ月とおおむね7営業日以内」に変更されました。
以上より、電子帳簿保存法の改正によって経理部門でも電子化しやすくなったと言えます。
なお、電子帳簿保存法のタイムスタンプについて、より詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
経理部門で電子化できる業務
本章では、経理部門で電子化できる業務の例を2つ紹介します。
具体的な方法もお伝えしますので、ぜひご参照ください。
契約書・領収書などの発行業務
契約書や領収書など、経理部門で扱う文書は電子帳簿保存法に関わってくるものばかりです。
前述したとおり、電子帳簿保存法の保存要件が緩和されたこともあり、国税関係の帳簿や書類を電子化しやすくなりました。
電子化すると、これまで紙で発行していた契約書や領収書などを電子データとして作成し、取引先には電子メールやクラウドサービスを通じて送信できます。
また、これらの文書は紙に印刷してからファイルなどで保存するのではなく、PCやクラウドサービス上で保管することが可能です(※)。
※電子帳簿保存法の保存要件を満たす必要があります
請求書・経費精算書などの転記作業
請求書や経費精算の入力などの転記作業も、電子化・自動化できます。
これまで手作業だったものを電子化・自動化することで、大幅な効率化につながるだけでなく人的ミスの防止にも効果的です。
転記作業を電子化・自動化する方法には、次のようなものが挙げられます。
- Excelのマクロ機能の活用
- RPA(ロボット・プロセス・オートメーション )の導入
- システム/ツールの導入
なお、下記の記事では経理業務を自動化する方法やおすすめのシステムなどを紹介していますので、あわせてチェックしてみてください。
経理業務を電子化する5つのメリット
経理業務を電子化する主なメリットは、次の5つです。
うまく電子化を進めることで、従業員が働きやすい環境の構築や利益拡大が実現します。それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット1.業務負担・人的ミスを削減できる
冒頭でもお伝えしたとおり、経理業務の電子化とはデジタル技術を活用して作業をおこなうことです。
現代では自動化・効率化につながる経理システムが多く存在し、それらを活用すると業務負担が軽減されます。
また、自動化できると手作業が減るため、人的ミスを削減できるのもメリットです。人的ミスの削減により、担当者の精神的負担も軽減できます。
メリット2.空いた時間を使いコア業務に注力できる
経理業務の電子化・自動化が実現すると、これまでの作業時間を大幅に削減できます。そして、空いた時間を有効活用してコア業務に注力することが可能です。
結果として経理業務の品質向上にもつながり、業績向上も期待できます。
メリット3.ペーパーレス化につながる
紙の書類を保管する場合、取引先が多いほど資料の数も膨大になります。月日を重ねるごとに書類の保管スペースも増えてしまい、管理するのも大変です。
また、紙の書類はその性質上、どうしても経年劣化が避けられません。
一方で、電子化を取り入れてデータ保存することでペーパーレス化が実現します。データをPCやクラウドサービス上に保存するため、そもそも書類の保管スペースは不要です。
紙の書類を保管するときのような経年劣化の心配はなく、過去の請求書を確認する際も簡単な検索をかけることで容易に探し出せます。
なお当サイトでは、請求書をペーパーレス化するメリットや進め方がわかる資料を無料配布していますので、下記からお気軽にダウンロードしてください。
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メリット4.テレワークを推進できる
「経理はテレワークできない」と言われる理由の一つに、紙とハンコの文化が残っていることが挙げられます。
実際にコロナ禍の緊急事態宣言中でも、紙の書類の確認や押印のために出社する担当者の姿が多くみられました。
しかし、経理業務を電子化してペーパーレス化を進めたり、経理システムを導入してあらゆる業務をクラウド上で実施したりすることで、テレワークを推進できます。
下記の記事では、経理でテレワークを導入するメリットや実現する方法を紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
メリット5.コストを削減できる
経理業務を電子化することは、コスト削減の観点でも効果的です。
下記のように、ペーパーレス化による紙代の削減や作業効率の向上による残業代の削減など、さまざまなコストをカットできます。
【経理業務の電子化で削減できるコストの例】
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経理業務を電子化する2つのデメリット
本章では、経理業務を電子化するデメリットを2つ紹介します。
デメリットとしてお伝えするものの、事前の情報収集や準備次第ではネガティブな影響を受けない企業もあるでしょう。
どういうことか詳しく解説します。
デメリット1.初期費用が発生する
経理業務を電子化する際は、必要な環境を整えるために初期費用がかかります。
例えば、PC・スキャナをはじめとする機器類の購入費用や、システムを利用する場合のシステム導入費用などです。
ただし、電子化によるコストの削減効果は大きく、長期的な視点でみると電子化したほうが全体のコストカットにつながる可能性は十分にあります。
また、PC代やシステム導入費などは種類によって大きく異なるため、事前に複数で比較検討することが大切です。
デメリット2.データ保管のための体制作りが必要になる
請求書や領収書などをデータ保存する際は、電子帳簿保存法に則った適切なデータ保存体制の構築が必要です。
例えば、電子帳簿保存法におけるファイル名は、下記の3項目を入れて検索機能の要件を満たすことが求められます。
- 取引年月日
- 取引金額
- 取引先
また、スキャナ保存制度と電子取引制度の要件に「タイムスタンプの付与」がありますが、このタイムスタンプは「最長2ヵ月とおおむね7営業日以内」に付与しなければなりません。
そして、電子帳簿保存法に違反すると下記の罰則を課せられるリスクがあります。
【電子帳簿保存法の罰則】
|
電子帳簿保存法に違反した場合の罰則について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
経理業務を電子化する4ステップ
経理業務を電子化する際は、下記の4ステップで進めるのが効果的です。
正しい進め方を知り、自社での取り組みに活かしてください。
ステップ1.電子化の目的を明確化する
まずは、経理業務の何を電子化したいか目的を明確にしましょう。電子化の目的によって、取り組むべき方法は異なります。
例えば「紙で受け取る書類を画像データで保存したい」という目的がある場合、スキャナを利用してデータ保存できる仕組みが必要です。
そして、電子帳簿保存法で定められている「スキャナ保存制度」の要件を満たすための体制を整えなければなりません。
【スキャナ保存制度の保存要件の例】
要件 |
内容 |
---|---|
一定水準以上の解像度による読み取り |
200dpi以上 |
タイムスタンプの付与 |
「一般財団法人日本データ通信協会」が認定するタイムスタンプを付与する(※1) |
ヴァージョン管理 |
次のいずれかを満たすシステムを使用すること
|
検索機能の確保 |
次の要件による検索ができる(※2)
|
※1 記録の訂正・削除後にそれらの事実や内容を確認できるシステムを利用している場合、タイムスタンプの付与義務は免除される
※2 税務職員によるデータのダウンロードの求めに応じる場合、範囲指定で検索できる機能や複数の記録項目を組み合わせて検索できる機能は不要
電子化の内容次第では、既存システムの改修や仕様変更が必要になることもあります。
必要経費や電子化実現に向けたスケジュールを明確にするためにも、まずは早い段階で電子化の目的を明確化しましょう。
なお、電子帳簿保存法のスキャナ保存について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
ステップ2.経理業務フローを見直す
経理業務を電子化すると、これまで慣れていた業務工程の変更が必要になる可能性が高いです。
従業員を混乱させないためにも、いきなりすべてを電子化するのではなく特に大きな課題がある業務から電子化に取り組むのがおすすめです。
その際、経理業務フローを作成しておくと
- 業務の進行がスムーズでない部分
- システム導入して自動化に取り組むべき部分
などが見つかりやすくなります。
下記の記事では、経理業務フローの例や作成手順をまとめていますので、関心のある方はあわせてご覧ください。
ステップ3.電子化することを取引先に伝える
自社で電子化に取り組む際は、取引先に伝えるべきかも検討しましょう。
これまで紙でやり取りしていた書類をいきなり電子化すると、取引先がスムーズに対応できないおそれがあります。
そして、もし取引先から電子化の理解を得られない場合、引き続き紙で郵送しないといけなくなるかもしれません。
そのため、電子化を進める前には電子化の計画を説明する案内状を送付し、書類の発行側と受領側の両者にとってのメリットを伝えることが重要です。
このアプローチによって、取引先も電子化への移行を検討してくれる可能性があります。
同時に取引先ごとにどの取引を電子化し、どの取引を紙で対応するのか、Excelなどを利用して取引情報を整理しておきましょう。
ステップ4.電子化のルールを確認しておく
繰り返しお伝えしてきたように、経理業務を電子化する際は電子帳簿保存法の要件を満たすことが求められます。
例えば、電子帳簿保存法の要件の一つに「真実性の確保」があり、もし改ざん防止策が取れない場合は法的に有効と認められません。
【改ざん防止策の例】
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また、急にルールを変えると社員も混乱する可能性があるため、マニュアルを作成するなどして丁寧に説明することが大切です。
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経理業務の電子化はシステム導入がおすすめ
ここまで、経理業務を電子化するメリットや具体的な進め方などを紹介しました。しかし、「自社で電子帳簿保存法の要件を満たすことが難しい」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
そのような方は、電子帳簿保存法に対応したシステムの活用がおすすめです。
例えば、NTTファイナンスの「楽々クラウド電子帳簿保存サービス by ClimberCloud」は、電子帳簿保存法のすべての保存区分に対応した文書管理システムです。
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経理業務を電子化して作業効率を高めよう
【本記事のまとめ】
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経理部門は、文書の発行業務や転記作業などを電子化することが可能で、実際に電子化に取り組む動きは進んでいます。
経理業務を電子化して、作業効率を高めましょう。
なお、システム導入して自動化・効率化を実現すると、経理DX(デジタル技術を活用して経理の業務フローや従業員体験を変革させること)の推進にもつながります。
経理DXを導入すると、業務負担が軽減されるだけでなく属人化の解消や企業評価の向上など多くのメリットを得られます。
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