家賃回収は口座振替がおすすめ!メリットや導入ステップ・注意点を解説
家賃回収業務には、支払忘れや滞納対応、入金確認の手間など、多くの課題がともないます。
これらの負担を軽減し、回収の安定化を図る手段として注目されているのが「口座振替」です。定期的な自動引き落としによって、支払漏れ防止や業務効率の向上にもつながります。
本記事では、口座振替の基本的な仕組みをはじめ、他の回収方法との違いや導入ステップ、注意点、トラブル時の対応を解説します。家賃回収の効率化やトラブル防止を図りたい方は、ぜひ参考にしてください。
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目次[非表示]
家賃回収における口座振替とは?
まずは、口座振替の基本的な仕組みと、他の家賃回収方法について確認しましょう。
口座振替の基本的な仕組み
口座振替とは、入居者の銀行口座から大家や不動産管理会社の口座へ、家賃を自動で振り込む仕組みです。公共料金や保険料など定期的な支払いに広く活用されており、家賃の回収方法にも適しています。
一度手続きを済ませれば、毎月決まった日に家賃が自動で引き落とされるため、入居者は支払忘れの心配がなくなります。また、大家や管理会社にとっても、入金確認や消込作業の手間が大幅に軽減されるのが大きなメリットです。
口座振替の具体的な仕組みについては、下記の記事でさらに詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
他の回収方法との違い
家賃の回収には、口座振替のほかにもさまざまな手段があります。
導入のしやすさやコスト、手間、リスクといった点で特徴が異なるため、運用スタイルに応じて適した選択肢は変わってきます。
下記の表で、口座振替以外の主な回収方法におけるメリット・デメリットを整理しました。
回収方法 |
メリット |
デメリット |
銀行振込 |
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現金手渡し |
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クレジットカード決済 |
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これらの方法はそれぞれ利点はありますが、「支払忘れや入力ミスが起こりやすい」「消込や入金確認に手間がかかる」などの課題がつきまといます。
一方、口座振替は一度手続きを済ませれば、毎月自動的に家賃を回収できる点が大きな特長です。
こうした支払漏れの防止や業務負担の軽減、入金の安定化といったメリットから、口座振替を導入する管理会社やオーナーが増えています。
次章では、口座振替ならではの具体的なメリットについて、より詳しく紹介します。
口座振替で家賃を回収する4つのメリット
家賃回収に口座振替を導入することによって得られるメリットは、次の4つです。
メリット1.家賃回収にかかる事務負担を軽減できる
口座振替の大きな特長は、毎月決まった日に自動で家賃を回収できる点です。
銀行振込による入金確認では、入居者ごとに振込名義が異なっていたり、入金日がバラついたりすることが多く、誰がいつ支払ったのかを確認するのに手間がかかります。名義の不一致により、照合に時間を取られるケースも少なくありません。
その点、口座振替は事前に登録された入居者情報をもとに処理が行われるため、こうした照合作業を省力化できます。
また、集金代行サービスを活用すれば、入金データをCSV形式で取得し、会計ソフトや管理システムと連携させることで、消込作業の自動化も可能です。
結果として担当者の作業時間が削減され、家賃回収業務全体の効率化につながります。
メリット2.滞納リスクを抑制できる
家賃の支払遅延や滞納は、賃貸経営における深刻な課題の一つです。口座振替を導入することで、入居者の支払忘れを防ぎ、家賃回収の安定化が期待できます。
残高不足により引き落としができないケースもありますが、「振込を忘れていた」などの単純なミスを防げる点は大きなメリットです。
滞納件数が減少すれば、安定した収益の確保に加え、管理業務の負担軽減にもつながります。
メリット3.キャッシュフローを安定化できる
毎月決まった日に家賃が自動で振り込まれるため、収入のタイミングが安定し、キャッシュフローの予測が立てやすくなります。その結果、事業計画や資金繰りの立案がよりスムーズになります。
また、未収分の催促や対応に追われる機会が減ることで、時間的・精神的な負担も軽減。経営全体にゆとりが生まれ、より健全な運営へとつながっていきます。
メリット4.入居者の利便性を向上できる
口座振替は、貸主側の業務効率化だけでなく、入居者にとっても利便性の高い支払手段です。
毎月の振込作業が不要となり、銀行窓口やATMへ出向く必要がなくなるほか、ネットバンキングの操作負担も軽減されます。
加えて、支払忘れによる延滞金の発生や家賃をめぐる連絡・トラブルのリスクを抑えられる点も、入居者にとって大きな安心材料といえるでしょう。利便性の高さは入居者の満足度を高めるとともに、長期的な入居継続や信頼関係の構築を後押しします。
家賃回収に口座振替を利用する際の注意点
本章では、実際に導入する前に押さえておきたい注意点を3つ紹介します。
口座振替は便利な回収方法ですが、導入・運用にあたってはいくつか気をつけたいポイントもあります。
注意点1.口座振替手数料が発生する
口座振替を導入する際に、最初に確認しておきたいのが手数料の存在です。
手数料は決済代行会社や金融機関を通じて振替処理を実施する際に発生するコストで、一般的には貸主側の負担となります。
金額や体系は提供元によって異なりますが、主に次のような項目が含まれます。
【口座振替で必要になる手数料】
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特に、管理戸数が多い場合は1件あたりの振替手数料が積み重なるため、月間コストが大きくなる可能性があります。
そのため、導入前には業務効率化による効果とあわせて、年間の総コストをシミュレーションしておくことが重要です。複数の金融機関・サービス提供会社から見積もりを取り、料金体系やサポート体制などを比較検討しましょう。
なお、選定時のポイントやおすすめサービスについては下記の記事で詳しく解説していますので、併せてチェックしてみてください。
注意点2.導入までに一定の手続きと期間を要する
口座振替は、申し込んですぐに利用できるものではありません。契約や審査、入居者からの申込書回収といった複数のステップを経て、ようやく運用を開始できる仕組みです。
スムーズに進んだ場合でも、手続きの完了までには通常数週間から1ヵ月程度を要します。特に繁忙期などは、入居者対応や社内準備に時間を取られることもあり、導入が遅れるケースも見受けられます。
こうした事情を踏まえ、事前に余裕を持ったスケジュールを立てておくことが重要です。
なお、具体的な導入手順については、後ほど「家賃の口座振替導入から運用開始までの手順5ステップ」にて詳しく解説します。
注意点3.個人情報の管理と同意取得が必要になる
口座振替を導入する際には、入居者の氏名・住所・銀行口座情報など、重要な個人情報を取り扱うことになります。これらの情報は、個人情報保護法に基づき、厳格な管理体制のもとで適切に運用しなければなりません。
具体的な対策は、下記のとおりです。
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また、口座振替を開始するにあたり、入居者からの明確な同意を得ることも必須です。
依頼書の記入・提出に際しては、自動引き落としの仕組みやスケジュールについて丁寧に説明し、内容を十分に理解してもらったうえで同意を取得する必要があります。
家賃の口座振替導入から運用開始までの手順5ステップ
家賃の口座振替を導入する際は、事前準備から運用開始まで、段階的に進めていきましょう。スムーズに運用を始めるための基本的な流れは、次の5ステップに整理できます。
自社の状況にあわせて、無理のない形で導入を進めていくのがおすすめです。
ステップ1.導入方式を決める
最初に検討すべきは、「どのような方式で口座振替を導入するか」です。主な選択肢は「金融機関との直接契約」「集金代行サービスの利用」の2つがあります。
金融機関との直接契約 |
特定の銀行と直接契約を結び、該当金融機関の口座振替サービスを利用する方法
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集金代行サービスの利用 |
特定の金融機関に依存せず、幅広い入金手段に対応しやすいサービスを利用する方法
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導入方式は、物件の規模や入居者が利用する金融機関の傾向、コスト感などを総合的に判断したうえで選定しましょう。
NTTファイナンスが提供する「回収代行サービス」では、請求データの作成から入金の消込、未収金の管理まで、家賃回収に必要な一連の業務を自動化できます。
特に、全国の主要銀行に対応した口座振替をはじめ、クレジットカード払いやコンビニ収納、バーコード決済など、決済手段を幅広く提供できる点は大きな強みです。
支払いやすい環境を整えることで、滞納リスクの低減や入居者の満足度向上が期待できます。
【回収代行サービスが対応している決済手段】
※電話料金合算とは、NTTグループ各社の通信料金などと一緒に請求するお支払方法です。 |
本サービスは、学習塾やスポーツスクール、自治体など、定期的な集金業務を行う多様な業種で導入されており、賃貸物件の家賃回収にも最適です。
家賃回収業務の効率化と入居者の利便性向上を両立させたいと考えている方は、下記のバナーから詳細資料をダウンロードしてご覧ください。
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ステップ2.契約手続きを進め、社内体制を整備する
利用する金融機関やサービスが決まったら、必要書類を準備し、契約・審査の手続きを進めます。審査を経て契約が締結されると、本格的な運用準備に移行します。
この段階では、社内の体制整備もあわせて進めておくことが重要です。次のようなルールや業務フローを事前に整備しておくと、導入後の混乱を防げます。
【ルール・業務フローの例】
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また、集金代行サービスを利用する場合は、管理画面の操作確認や自社システムとの連携設定などもこのタイミングで実施しておくとよいでしょう。
ステップ3.入居者へ案内を行い、口座振替依頼書を回収する
契約および社内準備が整ったら、入居者へ案内をします。新規入居者に加えて、現在銀行振込などで家賃を支払っている既存入居者にも、口座振替への切り替えを依頼しましょう。
案内の際には、下記のような内容をわかりやすく明記した案内文を準備し、入居者の理解と協力を得ることが重要です。
【案内文に明記する内容】
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通常は、紙の「口座振替依頼書」を配布し、必要事項の記入・捺印を依頼します。不備による差し戻しを防ぐためには、記入例の同封や記入時の注意点を添えるなどの工夫が効果的です。
近年では、スマートフォンやパソコンから手続きできるWeb口座振替に対応したサービスも普及しています。対応サービスを導入している場合は、Web申請の方法もあわせて案内することで、入居者の利便性向上にもつながります。
なお、口座振替依頼書については、下記の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
ステップ4.回収した依頼書を金融機関や代行業者へ提出する
入居者から回収した口座振替依頼書は、契約している金融機関またはサービス提供会社に提出します。
提出方法は郵送のほか、専用システムからのデータアップロードなどがあり、サービスごとに異なります。あらかじめ提出方法・期限を確認しておきましょう。
提出後は、金融機関やサービス側で内容確認と口座情報の登録処理が行われます。処理には一定の期間がかかるため、スケジュール管理が重要です。
ステップ5.口座振替の運用を開始する
登録作業がすべて完了したら、いよいよ口座振替による家賃回収がスタートします。初回の引き落とし日については、次のように事前に入居者へ周知しておくと安心です。
【入居者への案内例】 |
引き落とし実施後は振替結果を確認し、予定通り入金されているかをチェックしましょう。
以降は、毎月所定日に自動で家賃が引き落とされ、その結果を確認するという運用サイクルが定着していく流れとなります。
家賃の口座振替で多いトラブルと対処法
口座振替は便利な方法ですが、実際の運用では思わぬトラブルが発生することもあります。
万が一に備えて、代表的な3つのトラブルと対応策を確認しておきましょう。
トラブル1.残高不足で引き落としできなかった場合
よくあるトラブルの一つが、振替予定日に入居者の口座残高が不足しており、家賃の引き落としが実行されないケースです。
このような場合、サービス提供会社や金融機関から振替不能の通知が届きます。通知内容を確認次第、入居者には速やかに、かつ事務的で丁寧な対応を心がけましょう。
例えば次の形で、代替の支払方法と期日を明確に伝えることが重要です。
【例文】 |
なお、同様の状況が繰り返される場合は、うっかりミスだけでなく、支払能力や意識面に課題がある可能性も考えられます。
必要に応じて事情を確認し、支払方法の変更や対応方針の見直しを検討しましょう。
トラブル2.口座振替依頼書の不備・手続きが間に合わなかった場合
口座振替依頼書に不備があると金融機関での登録ができず、手続き全体が停止してしまいます。よくある不備は次のとおりです。
【口座振替依頼書のよくある不備】
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不備が確認された場合は、できるだけ早く入居者に連絡を取り、修正すべき箇所を明確に伝えたうえで、再提出を依頼しましょう。
また、依頼書の提出が遅れた場合や金融機関側での登録作業に時間がかかることで、希望していた振替開始日に間に合わないケースもあります。その際には代替手段を案内し、混乱を避けることが大切です。
こうしたスケジュール遅延に備え、事前に社内で対応フローを整備しておくと、より円滑に対応できます。
トラブル3.入居者が口座振替の手続きをしてくれない・変更を希望する場合
一部の入居者は、案内後も口座振替依頼書の提出に消極的なケースがあります。その場合には、あらためて口座振替のメリットを丁寧に説明し、明確な期限を設けてリマインドすることが有効です。
それでも提出が難しい入居者については、状況に応じて銀行振込など従来の支払方法を継続する対応も検討しましょう。
また、「口座を変更したい」という入居者からの申し出も考えられます。この場合は、新しい口座情報を記入した依頼書を再度提出してもらい、新規申し込みの際と同様の手続きが必要です。
登録処理には数週間から1ヵ月ほどかかる場合があるため、その間の家賃支払いは「変更前の口座での引き落としを続けるか」「一時的に銀行振込に切り替えるか」を、事前に入居者と確認しておくとトラブル防止につながります。
口座振替の導入で家賃回収の手間とリスクを減らそう
家賃回収における口座振替は、支払忘れや手作業の負担を減らし、業務の効率化と安定した回収を実現できる方法の一つです。
最近では、口座振替に加えてクレジットカード払いやコンビニ収納など、複数の決済手段に対応したサービスも登場しています。入居者にとって支払いの選択肢が広がることで、利便性が向上し、滞納リスクの軽減にもつながります。
家賃回収業務に課題を感じている方は、口座振替を含む多様な支払手段の導入をぜひご検討ください。
なお、サービスを選ぶ際には、いくつかのポイントを押さえておくことで導入の失敗を防げます。下記よりダウンロードできる資料では、選定時のチェック項目や比較のコツを詳しく解説していますので、どうぞご活用ください。
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