電子帳簿保存法で見積書の保管は必要?3つの保存方法を完全ガイド
電子帳簿保存法の改正により、電子的にやり取りした見積書のデータ保存が義務化されました。
このルールはすべての企業が対象となるため、電子帳簿保存法に関する正しい理解が欠かせません。
そこで本記事では、下記の内容を解説します。
- 電子帳簿保存法に対応した見積書の保存方法
- 見積書の保存期間(法人編・個人事業主編)
電子帳簿保存法の見積書についてよくある5つのQ&A
違反にならない見積書の保存方法を知っておきたい方は、ぜひ最後までご一読ください。
なお当サイトでは、「電子帳簿保存法の概要や改正ポイント・最低限やっておくべき対策」がわかる資料を無料配布しています。
電子帳簿保存法への理解を深めたい方は、下記のボタンからお気軽にダウンロードしてください。
\保存要件の概要はコレひとつでOK!/
▲1分でダウンロード可能!
目次[非表示]
見積書は電子帳簿保存法の対象書類
「国税関係書類」に含まれる見積書は、電子帳簿保存法の対象書類です。
そもそも電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿・書類の電子データでの保存を認めた法律です。2022年の法改正で要件が緩和されたことにより、国税関係帳簿・書類を電子データ保存しやすくなりました。
法改正による主な変更点は、次のとおりです。
- 事前承認制度の廃止
検索要件の緩和
タイムスタンプ要件の緩和
適正事務処理要件の廃止
罰則規定の強化
また今回の法改正では、すべての事業者に「電子取引制度」への対応が義務化されました。
これにともない、電子的にやり取りした見積書は保存要件を満たしたうえで適切にデータ保存しなければなりません。
もし電子帳簿保存法に違反した場合、罰則を課せられるリスクもあります。
電子帳簿保存法に則った保存の仕方は、のちほど「見積書の保存方法は大きく3つに分かれる」で解説します。
見積書の保存期間は法人で7年・個人では5年が基本
見積書は、一般的に法人だと7年・個人だと5年間保存することが法律で定められています。
ただし、赤字決算になった法人が「欠損金の繰越控除」を受ける場合、見積書を10年間保存しなければなりません。
対象 |
保存期間 |
法人 |
原則7年間 欠損金の繰越控除を受ける場合は10年間(※) |
個人事業主 |
5年間 |
参考:個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について|国税庁
※2018年4月1日以前に欠損金が生じた事業年度の見積書の保存期間は9年間
また、見積書を保存する際は「保存期間の起算日」に関しても正しく理解しておきましょう。起算日は見積書の発行日ではなく、「その事業年度における確定申告の提出期限の翌日」です。
例えば、確定申告の提出期限が2023年3月末の場合、2030年3月末までは見積書を保存しなければなりません(※欠損金の繰越控除を受けない法人の例)。
なお、電子帳簿保存法における保存期間の詳細は、次の記事でも詳しく解説していますのでご参照ください。
見積書の保存方法は大きく3つに分かれる
見積書の保存方法は、大きく次の3つに分かれます。
効率化やコスト削減を求める場合、最もおすすめなのは「電子取引・紙取引どちらも電子保存する方法」です。
それぞれの詳細を見ていきましょう。
方法1.電子取引した見積書を電子保存する
前述したとおり、電子的にやり取りした見積書は電子のまま保存しなければなりません。
なぜなら、2022年に電子帳簿保存法が改正され、電子データで授受した取引情報の電子データ保存が義務化されたからです。
EDIシステムやFAXでのやり取りなど、多くのものが「電子取引」の対象です。
電子データで受け取った見積書を電子のまま保存するには、下記の要件を満たす必要があります。
保存要件 |
概要 |
|
真実性の確保 |
1.データの真実性を 担保する措置 |
下記のいずれかの措置をとる
|
可視性の確保 |
2.システム概要に関する 書類の備え付け |
システムの概要を記載した関連書類を備え付ける(システム概要書・システム基本設計書など) |
3.見読可能装置の 備え付け |
保存場所に、電子計算機・プログラム・ディスプレイおよびプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付ける さらに、電磁的記録をディスプレイの画面および書面に整然とした形式および明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておく |
|
4.検索機能の確保 |
下記の条件で検索できるようにする
|
「電子取引した見積書の電子保存」は、すべての事業者が対象ですので、要件を満たしたうえで確実に保存できるようにしましょう。
下記の記事では、電子取引への具体的な対応方法を2つの手順に沿って詳しく解説していますのでご参照ください。
方法2.紙取引の見積書を紙面で保管する
紙取引の場合、電子保存するか紙面で保管するかの判断は各事業者に委ねられています。見積書を紙面で保管する際は、次のような方法で分類するのがおすすめです。
- 事業年度ごとに分類する
取引先ごとに分類する
事業年度ごとに分類しておけば、保存期間が過ぎた後に廃棄するタイミングがわかりやすくなります。
また、取引先ごとに請求書や納品書などと一緒に見積書を保管することで、検索がしやすくなって便利です。
ただし、「電子取引は電子保存」「紙取引は紙での保管」と2種類の保存方法があると、管理が煩雑になってしまいがちです。
くわえて、紙での保管の場合は下記のようなデメリットもあります。
- 保存ファイルやキャビネット代などのコストが発生する
倉庫などの保管スペースを確保しなければならない
該当する書類を探し出すのに手間がかかる
これまで紙取引の見積書を紙面で保管していた方は、この機会に電子保存へと切り替えてみてはいかがでしょうか。
方法3.電子取引・紙取引どちらも電子保存する
3つ目は、電子取引・紙取引のどちらも電子保存する方法です。
業務効率化や中長期的な視点でのコスト削減を求める場合、見積書は電子保存で統一することをおすすめします。
電子取引した見積書を電子保存する方法は、「方法1.電子取引の見積書を電子データ保存する」でお伝えしたとおりです。
紙取引の見積書を電子保存する際は、電子帳簿保存法の「スキャナ保存制度」を活用しましょう。
スキャナ保存制度を活用する場合、法律で定められた要件である「真実性の確保」と「可視性の確保」の両方を満たさなければなりません。
【紙取引の見積書をスキャナ保存する要件】
|
また、スキャナ保存する際の要件は、該当する書類が「重要書類」なのか「一般書類」なのかによっても異なります。
このうち見積書は、資金や物の流れに直結しないため「一般書類」に該当します。「一般書類」の具体的な保存要件は、次のとおりです。
要件 |
一般書類 |
一定水準以上の解像度による読み取り |
200dpi以上 |
カラー画像による読み取り |
カラー画像ではなく白黒での読み取りも可能 |
入力期間の制限 |
適時に入力 |
タイムスタンプの付与 |
「一般財団法人日本データ通信協会」が認定するタイムスタンプを付与する(※1) |
解像度および階調情報の保存 |
◯ |
ヴァージョン管理 |
次のいずれかを満たすシステムを使用すること
|
スキャン文書と帳簿との相互関連性の保持 |
◯ |
見読可能装置の備え付け |
カラー画像ではなく、白黒で保存する場合はカラー対応不要 |
整然・明瞭出力 |
◯ |
電子計算機処理システムの開発関係書類などの備え付け |
次のような書類を備え付ける
|
検索機能の確保 |
次の要件による検索ができる(※2)
|
※1 記録の訂正・削除後にそれらの事実や内容を確認できるシステムを利用している場合、タイムスタンプの付与義務は免除される
※2 税務職員によるデータのダウンロードの求めに応じる場合、範囲指定で検索できる機能や複数の記録項目を組み合わせて検索できる機能は不要
紙取引の見積書をスキャナ保存するには、上記の要件を満たす必要がありますが、電子保存することで次のようなメリットを享受できます。
- 管理コストの削減
検索作業の効率化
ペーパーレス化の推進
デジタル化の推進
スキャナ保存するための要件やメリット・デメリットに関しては、下記記事でも詳しく解説していますのでご覧ください。
電子帳簿保存法に対応するなら専用システムの導入がおすすめ
法改正により、電子的に授受した見積書は紙での保存が無効となったため、すべての事業者が電子保存しなければなりません。
その際、電子取引した見積書だけではなく、紙取引の見積書も一緒に電子保存することで業務効率化を期待できます。
ただし、電子保存するときは法律で定められた要件を満たす必要があり、自社で対応するとなると管理が煩雑になってしまいがちです。
そこでおすすめなのが、文書管理システムのような専用システムの導入です。
例えば、NTTファイナンスでは、改正電子帳簿保存法に完全対応した文書管理システム「楽々クラウド電子帳簿保存サービス by ClimberCloud」を提供しています。
本サービスを導入することで、電子帳簿保存法について深く把握していなくても法令に準拠した税務処理業務が可能です。
見積書に限らず幅広い帳票類に対応しているため、このシステム一つで帳簿・書類の管理を効率化できます。
初期費用0円・月額900円から利用できる「楽々クラウド電子帳簿保存サービス by ClimberCloud」の詳細は、下記のボタンからサービス資料をダウンロードしてご確認ください。
\法令に準拠した税務処理業務が手軽に!/
▲初期導入コスト無料で利用可能!
電子帳簿保存法の見積書についてよくある5つのQ&A
最後に、電子帳簿保存法の見積書についてよくある5つの質問に回答します。
- 見積書を電子保存すべき対象者は?
- 契約に至らなかった見積書の保管は必要?
- 電子データで送信した見積書の控えはどのように保存すべき?
- 見積書を電子保存する際のタイムスタンプの付与期限は?
- 電子データと書面で同じ内容の見積書を受領した場合、電子保存も必要?
気になったものがあれば、ぜひチェックしてみてください。
Q1.見積書を電子保存すべき対象者は?
見積書を電子保存すべき対象者は、見積書を電子データで授受しているすべての企業・個人事業主です。
なぜなら、2022年の法改正により、電子的に授受した見積書の電子保存が義務化されたからです。
電子帳簿保存法の対象企業については、下記記事で解説していますのでご参照ください。
Q2.契約に至らなかった見積書の保管は必要?
前提として、電子帳簿保存法には「契約に至らなかった見積書の保存」について明文化されていません。
ただし、次のようなメリットを享受できるため、契約に至らなかった見積書も基本はすべて電子保存しておくことをおすすめします。
- 今後同じような取引があった場合に参考にできる
電子保存しておけば検索しやすく場所もとらない
Q3.電子データで送信した見積書の控えはどのように保存すべき?
電子データで送信した見積書の控えも電子保存が必要です。「電子取引制度」の保存要件を満たしたうえで、適切に保管するようにしましょう。
Q4.見積書を電子保存する際のタイムスタンプの付与期限は?
見積書を電子保存する場合のタイムスタンプ付与期限は、「最長2ヵ月とおおむね7営業日以内」です。
法改正前は「最短3営業日以内」にタイムスタンプを付与する必要がありました。
しかし、2022年の法改正でタイムスタンプ要件が緩和されたことにともない、付与期限が「最長2ヵ月とおおむね7営業日以内」に延長されました。
改正前 |
改正後 |
|
タイムスタンプの付与期限 |
最短3営業日以内 |
最長2ヵ月と おおむね7営業日以内 |
なお、タイムスタンプの仕組みや利用手順に関しては、下記記事で解説していますのでご参照ください。
Q5.電子データと書面で同じ内容の見積書を受領した場合、電子保存も必要?
電子データと書面で同じ内容の見積書を受領した場合、書面を正本として取り扱うことを自社内で決めているなら書面のみの保存で問題ありません。
ただし、「書面で受領した見積書の内容を補完するような情報が電子データに記載されている」など、その内容が同一でない場合は書面と電子データの両方を保存する必要があります。
見積書は電子保存での一括管理がおすすめ
本記事のまとめ
|
電子帳簿保存法の改正により、電子取引した見積書については電子データでの保存が義務化されました。
保存要件に則って正しく保存できていないと罰則を課せられるリスクもあるため、「電子取引」への適切な対応が求められます。
おすすめなのは、改正電子帳簿保存法に対応した専用システムの活用です。
例えば、NTTファイナンスの「楽々クラウド電子帳簿保存サービス by ClimberCloud」は、電子帳簿保存法のすべての保存区分に対応したサービスです。
本サービスを導入することで、電子帳簿保存法について深く把握していなくても法令に準拠した税務処理業務が可能になります。
同社の「法人"ビリングONE"」や「楽々クラウド決済サービス」などとあわせて使うことで、請求書の支払い・請求・徴収管理と同時に、見積書などの幅広い帳票類にも対応できます。
簡単な操作方法に加え、メールでのお問い合わせ対応や動画マニュアルなど、充実した支援サービスが用意されていることも特徴です。
既存システムとの連携もできる「楽々クラウド電子帳簿保存サービス by ClimberCloud」の詳細は、下記のボタンからサービス資料をダウンロードしてご確認ください。
\法令に準拠した税務処理業務が手軽に!/
▲初期導入コスト無料で利用可能!