電子帳簿保存法に沿った電子メールの保存方法をシーン別に6つ紹介
電子帳簿保存法の改正にともない、2024年1月以降、電子メールの保存が義務付けられました。
電子帳簿保存法の要件を満たせていないと罰則を課せられるリスクもあるため、法律に関する正しい理解が欠かせません。
そこで本記事では、下記の内容を解説します。
- 電子帳簿保存法における電子メール保存の必要性
- 電子取引の保存要件
- 【シーン別】電子帳簿保存法に沿った電子メールの保存方法
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目次[非表示]
- ・電子帳簿保存法で電子メールの保存は必要なのか
- ・メール本文の保存にも関わる!電子取引の2つの保存要件
- ・【シーン別】電子帳簿保存法に沿った電子メールの保存方法を6つ紹介
- ・シーン1.電子取引データがメールに添付されている場合
- ・方法1.自社で使用している「メールシステム」にメール自体を保存する
- ・方法2.検索の要件を満たしたファイル名をつける
- ・方法3.事務処理規程を作成して備え付けておく
- ・方法4.索引簿を作成して管理する
- ・シーン2.メール本文に取引情報が直接記載されている場合
- ・電子メールの保存は専用システムの活用がおすすめ
- ・電子メールの保存に関してよくある4つのQ&A
- ・専用システムを活用して電子メールを効率よく保存しよう
電子帳簿保存法で電子メールの保存は必要なのか
結論からお伝えすると、電子帳簿保存法において電子メールの保存は必要です。
なぜなら、電子帳簿保存法では「電子取引を用いて授受した取引情報の電子データ保存」を義務付けているからです。
電子取引は、法律上では次のように定義されています。
取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。以下同じ。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。 |
出典:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 | e-Gov法令検索
上記の電子取引のなかには「電子メール」も含まれており、電子データ保存の対象とされています。
もう少し具体的に言うと、取引情報がメール本文に記載されている場合は「当該メール」を、添付ファイルに取引情報が記載されている場合は「当該ファイル」を保存しなければなりません。
メールに添付されやすいファイルの例は、次のとおりです。
|
これらの書類をPDFファイルなどで電子メールで受け取った場合、電子データ保存の対象となります。
電子データ保存に必要な要件に関しては、次の章で解説します。
なお、そもそも「電子帳簿保存法の電子取引」がよくわからない方という方は、詳しく解説してある下記の記事がおすすめですので、ぜひご一読ください。
メール本文の保存にも関わる!電子取引の2つの保存要件
電子帳簿保存法における電子取引の保存要件は、下記の2つです。
ここを取りこぼすと、「保存要件を満たせない保存方法」になりかねません。本章でしっかり確認していきましょう。
1.真実性の要件
「真実性の要件」とは、電子文書を作成・保存する際にデータの信頼性や正確性を確保するための措置を定めた要件です。
ここでの「措置」とは、具体的に次の4つを指します。(真実性の要件は、下記のうちいずれか1つを満たせば問題ありません)
真実性の要件 |
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日々の業務で使用するメールは、Outlookを始めとした「メールシステム」や「自社サーバを利用したメールシステム」を使う場合が多いでしょう。
ただし、「訂正や削除を確認できるメールシステム」、もしくは「訂正や削除ができないメールシステム」はかなり限られるため、基本的には1・2・4から選ぶことになります。
1のタイムスタンプが付与された取引情報を受領する場合、当然ながらメールを送信する側が電子取引にタイムスタンプを付与する必要があります。
現在取引をおこなっているすべての取引先にタイムスタンプを付与してもらうことは、現実的ではありません。
したがって、2の「自社でタイムスタンプを付与する方法」か、4の「事務処理規程を定める方法」を用いて保存要件を満たすのがおすすめです。
下記の記事では、タイムスタンプの仕組みや利用手順について解説しているため「自社でタイムスタンプを付与する方法」を考えている方はご一読ください。
一方、下記の記事では、電子帳簿保存法の事務処理規程の定め方などについて詳しく解説しています。「事務処理規定を定める方法」を検討している場合は、こちらをご覧ください。
2.可視性の要件
「可視性の要件」は、電子文書を必要なときに必要な人が確認できるための措置を定めた要件です。
ここでの「措置」とは、具体的に次のようなものを指します。
可視性の要件 |
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可視性の要件は、原則すべての措置を満たさなければなりません。ただし、検索条件については下記のように要件が緩和されています。
売上高が 1,000 万円以下である方(小規模な事業者)について、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、検索要件の全てが不要 |
続いて、実際に想定されるシーン別に「具体的な保存方法」を解説しますので、ぜひ読み進めてみてください。
【シーン別】電子帳簿保存法に沿った電子メールの保存方法を6つ紹介
ここからは、日々の業務において実際に想定されるシーン別に6つの保存方法を紹介します。
どちらもよくあるシーンだと思いますので、自身に当てはめて読み進めてみてください。
シーン1.電子取引データがメールに添付されている場合
まずは、「電子取引データがメールに添付されている場合」の保存方法を4つ紹介します。
方法1.自社で使用している「メールシステム」にメール自体を保存する
1つ目は、自社で管理しているメールシステムに「添付ファイルごと保存する」方法です。
自社で管理しているメールシステムが「添付ファイルごと保存」できるのであれば、別途何かしらの手段を考えなくて良いのが最大のメリットです。
ただし、可視性の要件である「マニュアルや概要書を備え付けること」、「検索要件を満たさなくてはならないこと」に注意しましょう。
方法2.検索の要件を満たしたファイル名をつける
2つ目は、メールに添付されているPDFファイルなどに、検索の要件を満たしたファイル名をつける方法です。
具体的には、「取引年月日」「取引先」「取引金額」の3項目をファイル名に含めます。イメージしやすいように、具体例を紹介しますのでご参照ください。
【各条件】
【ファイル名】 「230331_NTTファイナンス株式会社_150000」 |
このようにファイル名を命名し、「取引先」「取引月」などのフォルダを作成して保存するのがおすすめです。
なお、電子帳簿保存法に沿ったファイル名の付け方やフォルダの作成方法に関しては、次の記事で詳しく解説しています。
「ファイル名をつける対応方法」を検討している方は、ぜひご参照ください。
方法3.事務処理規程を作成して備え付けておく
3つ目は、あらかじめ事務処理規程を作成しておき、この内容に沿った方法で保存する方法です
事務処理規程を定めておくと、内容にしたがって保存すれば保存要件を満たせるため、早めの備え付けがおすすめです。
事務処理規程の具体的な定め方は、国税庁が出しているサンプルファイルを参考にしてください。
方法4.索引簿を作成して管理する
4つ目は、受領した請求書などの電子取引データファイルに「連番」をつける方法です。ファイル側は連番をつけるだけで、取引の内容は索引簿側で管理します。
索引簿の例を見てみましょう。
ファイルに連番をつける手間は発生するものの、非常にシンプルでわかりやすい管理方法と言えます。
ただし、取引先が多くなるほど入力作業が増えて管理が大変になってしまうことも頭に入れておきましょう。
索引簿は、国税庁が出しているExcelファイルのサンプルを参考にしてください。
参考:索引簿の作成例|国税庁
シーン2.メール本文に取引情報が直接記載されている場合
続いて、「メール本文に取引情報が直接記載されている場合」の保存方法を2つ紹介します。
方法1.自社で使用している「メールシステム」にメール自体を保存する
1つ目の保存方法は、前項の「電子データファイルが添付されている場合」と同様です。
自社で管理している「メールシステム」に、添付ファイルごと保存しましょう。可視性の要件である、マニュアルや概要書の備え付け、検索要件を満たさなくてはならない点に注意が必要です。
方法2.メール内容をPDFなどにエクスポート・変換して保存する
2つ目は、メールに記載されている内容を変更せず、そのままPDFなどにエクスポート・変換して保存する方法です。
可視性の要件を満たせないメールシステムを利用している場合は、変換して保存するのも一つの手です。
保存するPDFのファイル名は、「取引年月日」「取引先」「取引金額」の3項目がわかるように命名しなくてはならない点に注意しましょう。
参考:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】 問45|国税庁
電子メールの保存は専用システムの活用がおすすめ
今回紹介した6つの方法でも電子帳簿保存法での要件は満たせます。しかし、これらの方法は継続して運用するとなると取引量が増えて煩雑になりがちです。
長期的な視点での「効率化」を考えるのであれば、専用システムを導入して運用することでかなり改善できます。
例えば、NTTファイナンスの「楽々クラウド電子帳簿保存サービス by ClimberCloud」は、メールで受け取った電子取引の書類にタイムスタンプを付与してクラウド上に保存できます。
データの検索機能にも対応しているため、検索要件に応じたファイル名をつけたり、Excelなどで索引簿を作成したりしなくてよくなるのが最大のメリットです。
初期費用0円・月額900円から利用できるため、お試し感覚で導入しやすい点も好評です。
電子メールの効率的な管理だけではなく、請求業務の自動化にも対応できる本サービスの詳細が気になる方は、下記からお気軽にサービス資料をダウンロードしてください。
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電子メールの保存に関してよくある4つのQ&A
最後に、電子メールの保存に関してよくある4つの質問に回答します。
- 電子メール本文をPDF化して保存するのは問題ない?
- 電子メールで受け取った領収書・レシートは紙での保存も認められる?
- 電子メールがなく、Webサイトだけに取引情報がある場合はどうすべき?
- 電子メールの本文は何年間保存すべき?
疑問に感じるものがあれば、ぜひ解消にお役立てください。
Q1.電子メール本文をPDF化して保存するのは問題ない?
メールに記載されている内容を変更せず、そのままPDFなどにエクスポート・変換して保存するのは問題ありません。
注意すべき点は、検索要件に沿ったファイル名にすることです。具体的には、「取引年月日」「取引先」「取引金額」の3項目を含めたファイル名にする必要があります。
参考:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】 問45|国税庁
Q2.電子メールで受け取った領収書・レシートは紙での保存も認められる?
改正電子帳簿保存法では、電子メールで受け取った領収書・レシートの紙での保存は認められていません。
法改正にともない、電子メールで受け取った領収書・レシートなどの電子取引データは「電子データのまま」の保存が必要です。
領収書を電子保存する際の要件は下記の記事で詳しく解説していますので、領収書・レシートの正しい保存方法を知りたい方はぜひご一読ください。
Q3.電子メールがなく、Webサイトだけに取引情報がある場合はどうすべき?
もしWebサイト側に請求書などの取引情報をPDF化する機能がなければ、スマートフォンやPCの「スクリーンショット」機能で画像ファイルにして保存すれば問題ありません。
つまり、あらためて専用ソフトなどを用意する必要はないということです。
ただし、画像ファイルで保存する際も、検索要件に沿ったファイル名にすることが求められます。
「取引年月日」「取引先」「取引金額」の3項目を含んだファイル名にしなくてはならないため、しっかりと対応しましょう。
参考:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】 問31|国税庁
Q4.電子メールの本文は何年間保存すべき?
電子メールの本文は、法人で基本7年(最長10年)、個人事業主では原則5年(最長7年)保存しなければなりません。
メールに添付されていた電子取引データを保存する際も、同様の期間にわたって保存する必要があります。
下記の記事では、電子帳簿保存法における文書の保存期間について解説しています。保存期間を正しく把握したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
専用システムを活用して電子メールを効率よく保存しよう
本記事のまとめ
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電子帳簿保存法におけるメール本文の保存は、「真実性の要件」と「可視性の要件」を満たす必要があります。
本記事で紹介した保存方法を参考にして、要件の抜け漏れがないように対策しましょう。
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