経理処理とは?業務内容や4つの課題、効率化のコツなどを解説
経理処理は、企業の財務状況を正確に把握し、健全な経営を支えるうえで欠かせない業務です。しかし、業務の多くが手作業で行われていたり、法改正への対応が後手に回ったりと、現場ではさまざまな課題が山積しています。
本記事では、経理処理の基本から日次・月次・年次業務の内容、よくある4つの課題とその解決策、さらに業務を効率化する具体的な方法までを詳しく解説します。
経理業務を見直したい方、効率化を図りたい方は、ぜひ参考にしてください。
なお、経理業務の効率化を進めるうえで障壁の一つとなるのが、「業務の属人化」です。当サイトでは経理業務が属人化・ブラックボックス化するリスクと具体的な解消法を解説した資料を配布しています。下記より無料でダウンロードできますので、併せてご活用ください。
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目次[非表示]
- ・経理処理とは?
- ・【時期別】経理処理の主な業務内容
- ・経理処理でよくある4つの課題
- ・経理処理の課題を解決するための4ステップ
- ・経理処理の効率化がもたらす6つのメリット
- ・メリット1.業務負担を軽減できる
- ・メリット2.従業員の満足度向上につながる
- ・メリット3.ヒューマンエラーの削減が期待できる
- ・メリット4.コストを削減できる
- ・メリット5.生産性が向上する
- ・メリット6.経営判断の迅速化につながる
- ・経理処理の効率化につながるポイント5選
- ・ポイント1.書類フォーマットを統一する
- ・ポイント2.ペーパーレス化を推進する
- ・ポイント3.キャッシュレス決済を活用する
- ・ポイント4.会計システムや業務支援ツールを導入する
- ・ポイント5.アウトソーシングを検討する
- ・経理処理はツールを活用して効率化しよう
経理処理とは?
まずは、経理処理の基本的な意味や役割、似た言葉との違いについて確認しましょう。
経理処理の基本的な意味と役割
経理処理とは、企業内で日々発生するお金の流れや取引内容を記録・管理する業務全般を指します。
具体的には、次のようなさまざまな業務が含まれます。
【経理処理の主な業務内容】
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経理処理の主な役割は、企業の財務状況や経営成績を正確に可視化し、経営者が的確な意思決定を行えるようにするための基礎情報を提供することにあります。
また、正確な経理処理は社内の透明性を高めるだけでなく、税務調査や監査といった外部対応にもスムーズに対応できる体制づくりにもつながります。
つまり経理処理は、企業の健全な成長を支える経営基盤として、欠かせない重要な業務なのです。
会計処理・財務処理との違い
「経理処理」「会計処理」「財務処理」は、いずれも会社のお金に関わる業務ですが、それぞれ役割や目的が異なります。
各処理の違いを下表にまとめました。
処理の種類 |
役割 |
対象となる業務領域 |
主な業務内容 |
経理処理 |
日々のお金の動きを記録・管理する |
取引の管理・記録・集計 |
伝票作成・仕訳・入出金管理・請求書処理・経費精算・給与計算・税務対応など |
会計処理 |
経理データをもとに数値を整理・報告用にまとめる |
帳簿整理・財務諸表作成・報告 |
仕訳記帳・決算整理・財務諸表作成・税務申告など |
財務処理 |
未来のために資金をどう集め、どう使うか計画する |
資金の調達・運用・配分 |
資金繰り・融資、増資対応・予算編成・投資判断・資金計画など |
下記のように、3つの処理は独立しているわけではなく、相互に連携しながら企業経営を支えています。
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なお、「会計処理」については下記の記事でより詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
【時期別】経理処理の主な業務内容
経理業務は、その実施頻度に応じて「日次」「月次」「年次」の3つのサイクルに分けられます。それぞれの業務がどのように企業経営を支えているのか、詳しくみていきましょう。
【日次業務】日々の経理活動を支える基本業務
日次業務は、毎日の取引やお金の動きを正確に記録・管理する、経理の基本的な業務です。日々のデータ蓄積が、月次・年次の集計業務における信頼性の高い基礎となります。
日次業務の主な内容は、下記のとおりです。
業務内容 |
概要 |
伝票作成 |
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仕訳処理 |
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入出金管理 |
|
日次業務は、一つひとつの処理を正確に実施することが求められます。小さなミスでも、後に大きなトラブルにつながる可能性があるため、常に丁寧な対応が欠かせません。
なお、経理処理のミスを減らす手段の一つである「自動仕訳」について、下記の記事で紹介していますので、併せてご覧ください。
【月次業務】1ヵ月ごとの経営状況を把握・調整する業務
月次業務では、日々の取引データを1ヵ月分まとめ、企業の収支や財務状況を分析します。月次報告は、経営層の意思決定において重要な判断材料となります。
代表的な月次業務は、次のとおりです。
このように、月次業務には取引先や従業員との信頼関係を維持するための重要な役割も含まれています。
【年次業務】企業の信頼を支える決算・税務業務
年次業務は、1年間の経営活動を総括する重要な業務であり、いわば経理処理の集大成ともいえる存在です。
ここで作成される決算書類は、税務署や株主、金融機関など、外部関係者に向けて企業の健全性を証明する「公式な資料」として活用されます。
年次業務の主な業務内容は、下記のとおりです。
業務内容 |
概要 |
税金管理・申告 |
|
決算書類の作成 |
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年次業務は企業の社会的信用に直結するため、正確性はもちろん、税法や会計基準など高度な専門知識が求められます。
経理処理でよくある4つの課題
ここでは、特に多くの企業が直面している代表的な4つの課題について詳しくみていきましょう。
経理部門は企業経営を支える重要な存在ですが、その業務には多くの課題が潜んでいます。
課題1.手作業が多く、ミスや作業遅延の要因となる
経理業務の現場では、依然として人の手による処理が多く残っており、ミスや遅延の原因になっています。下記は、手作業によって起こりがちなリスクの例です。
【手作業による主なリスク】
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特に月末や年度末の繁忙期には処理件数が急増し、こうしたミスのリスクも高まります。
手作業に多くの時間を取られることで、経営分析や業務改善といった付加価値の高い業務に十分なリソースを割けなくなり、部門全体の生産性が低下するおそれもあります。
課題2.紙ベースの管理により、業務が非効率になる
請求書や領収書、契約書などを紙で管理していると、さまざまな面で業務の効率が低下します。紙管理がもたらす主なデメリットは次のとおりです。
【紙書類管理の非効率な側面】
|
また、紙の資料は基本的にオフィスでしか扱えないため、テレワークの推進にも大きな制約となります。
ペーパーレス化が進む今、紙ベースでの業務運用は、企業の柔軟性や競争力を損なう大きな要因となり得ます。
課題3.専門知識が求められ、業務が属人化しやすい
経理業務は簿記や税務に関する専門的な知識が必要なため、「この業務はあの人しかできない」といった属人化が起こりやすい領域です。属人化が進むことで、次のようなリスクが生じます。
【業務の属人化がもたらすリスク】
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特定の担当者に業務が偏る状態は、組織にとって大きなリスクです。担当者本人の負担が増すだけでなく、企業の成長や持続性にも悪影響を及ぼす可能性があります。
課題4.頻繁な法改正への対応が求められる
経理部門にとって大きな悩みのひとつが、頻繁に行われる法改正への対応です。ここ数年だけでも、経理業務に大きな影響を与える制度改正が相次いでいます。
こうした制度変更に対しては、常に最新情報をキャッチアップし、社内の業務フローやシステムを見直す必要があります。対応が遅れたり誤ったりすると、追徴課税などのリスクも発生しかねません。
法改正への対応は、企業のコンプライアンスと信頼性を左右する重大な経営課題といえるでしょう。
経理処理の課題に取り組むためには、まず自社の業務実態を正しく把握することが重要です。
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経理処理の課題を解決するための4ステップ
経理処理に関する課題を解決し、業務全体を効率化するためには、状況を正しく把握し、段階的に改善策を講じることが重要です。4つのステップに沿って解説します。
ステップ1.現状の業務内容を洗い出す
まずは、現在の経理業務を見える化するところからスタートします。日次・月次・年次ごとに業務をすべてリストアップし、次の項目を整理していきましょう。
【整理すべき主な項目】
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ヒアリングや業務日報の記録などを通じて、表には出てこない非効率な作業や担当者が負担に感じているポイントを可視化します。
ステップ2.理想の業務フローを設計する
現状が把握できたら、次はムダや重複を排除した理想の業務フローを描きます。
ステップ1で明らかになった課題をもとに、改善の方向性を具体化していきましょう。例えば、下記のような改善の方向性が考えられます。
【改善の方向性の例】
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ここで大切なのは、「なぜ改善するのか(目的)」と「どの状態をめざすのか(ゴール)」を明確にすることです。これが後の施策選定の軸となり、改善のブレ防止につながります。
経理業務フローの具体的な作成手順については、こちらの記事も参考にしてください。
ステップ3.課題を明確にして改善策を検討する
理想の業務像を描いたら、現実とのギャップを分析し、解決すべき課題を明確にします。例えば「本来は請求書を自動で処理したいが、現状ではすべて手入力」という状態があれば、それが解決すべき課題です。
次に、その課題をどう解決するか、複数の改善策を検討していきます。例として、次のような選択肢があります。
【改善策の例】
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それぞれの改善策について、コスト・導入効果・現場の運用負荷などを比較し、自社に最適な方法を見極めましょう。ここでの検討が今後の成果を大きく左右します。
なお、業務フローの可視化から課題発見までの流れは、下記の記事でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。
ステップ4.具体的な改善策を実行に移す
具体的な改善策が決まったら、いよいよ実行に移します。ただし、いきなり全社で導入するのはリスクが大きいため、特定の部署や業務に絞って試行する「スモールスタート」がおすすめです。
【実行時のポイント】
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実行後は効果を検証し、必要に応じて改善内容を見直します。改善は一度きりで完結するものではないため、継続的に見直しと調整を重ねていきましょう。
経理処理の効率化がもたらす6つのメリット
経理処理の効率化によって得られる、代表的なメリットは次の6つです。
メリット1.業務負担を軽減できる
経理業務の効率化によって、日々の手作業や繰り返し行われる確認作業の負担を削減できます。例えば、伝票入力や帳簿照合といった定型業務が自動化されることで、担当者の時間的・精神的な負担が軽減されます。
特に、月末や年度末に業務が集中し、残業が常態化しやすい職場では、働き方の改善にもつながる大きなメリットです。
メリット2.従業員の満足度向上につながる
業務負担が軽減されると、長時間労働が抑制され、ワークライフバランスの改善が期待できます。従業員が心身ともにゆとりを持って働ける環境は、仕事へのモチベーションや満足度を高める要因の一つです。
結果として、優秀な人材の定着率が高まり、採用・教育にかかるコストの削減や組織内にノウハウが蓄積されやすくなります。
メリット3.ヒューマンエラーの削減が期待できる
手作業を前提とした業務では、どうしても転記ミスや計算ミスといったヒューマンエラーが避けられません。しかし、システムを導入して処理を自動化すれば、こうしたミスの発生を減らせます。
データの正確性が向上すれば、ミスの修正にかかる手戻りも減少し、財務報告の信頼性も高まります。その結果、税務調査や融資審査といった場面でも、スムーズかつ的確な対応が可能です。
メリット4.コストを削減できる
経理処理の効率化は、さまざまな間接コストの削減にもつながります。
【削減できるコストの例】
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一つひとつは小さなコストでも、年間で見れば大きな経費削減効果を生む可能性があります。こうした積み重ねが、企業の収益改善につながります。
メリット5.生産性が向上する
単純作業に追われていた時間を削減できれば、その分のリソースをより付加価値の高い業務へ振り向けることが可能です。
例えば、予算と実績の差異分析・資金繰りの改善提案・経営層への戦略的なレポート作成など、経理部門が経営判断を支える役割に注力できるようになります。
こうした業務へのシフトが進めば、経理部門の位置づけも変わっていきます。従来の「処理部門」から、「経営を支えるパートナー」へと進化し、企業全体の生産性向上にも貢献できるはずです。
メリット6.経営判断の迅速化につながる
経理業務の効率化によって、月次決算などの処理スピードが向上すれば、経営陣は自社の業績や財務状況をリアルタイムに把握できるようになります。
変化の激しい経営環境において、迅速かつ正確な情報に基づいて判断できることは、競争力の強化にも直結します。
適切なタイミングで意思決定を下し、事業機会を逃さないためにも、経理の効率化を推進していきましょう。
経理処理の効率化につながるポイント5選
最後に、比較的取り組みやすく、かつ効果が見込める5つのポイントをご紹介します。経理処理を効率化するには、状況に応じたさまざまな手法があります。
ポイント1.書類フォーマットを統一する
最初のステップとしておすすめなのが、社内で使用する書類フォーマットの統一です。
例えば、経費精算書や請求書などの書式が担当者によってバラバラだと、確認や修正に手間がかかるだけでなく、記入漏れやミスも発生しやすくなります。
必要な項目をあらかじめ設定したテンプレートを用意し、入力ルールを明確にすることで、作成者・確認者双方の負担を軽減できます。まずはExcelで簡単なひな型を作成するだけでも、十分な効果が期待できるでしょう。
Excelで作成できる請求書テンプレートについては、下記の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
ポイント2.ペーパーレス化を推進する
経理業務の効率化を図るうえで、ペーパーレス化は有効です。紙をPDFやクラウドストレージなどの電子データに置き換えることで、印刷や郵送、保管といった手間やコストを削減できます。
また、データの検索性や共有性が向上するため、必要な情報にすばやくアクセスできるようになります。
最近では、電子帳簿保存法への対応も進み、社会全体でペーパーレス化が加速中です。まずは経費精算書や領収書など、小規模な領域から段階的に取り入れてみましょう。
経理業務のペーパーレス化については、下記の記事でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。
ポイント3.キャッシュレス決済を活用する
現金での経費精算や支払いが多い企業では、キャッシュレス決済を導入するだけでも大きな効率化が見込めます。
例として法人向けのクレジットカードを導入すれば、利用明細がデータで取得でき、領収書の管理や手入力の手間を減らすことが可能です。
また、インターネットバンキングを利用すれば、場所を選ばずに振込業務ができるようになり、振込手数料のコスト削減にもつながります。
さらに、こうした明細データを会計システムと連携させれば、仕訳作業の自動化も実現できます。
ポイント4.会計システムや業務支援ツールを導入する
仕訳や決算処理などの業務を効率化するには、会計システムの導入が効果的です。近年は下記のような理由から「クラウド型会計ソフト」が主流となっています。
【クラウド型会計ソフトが主流の理由】
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また、経費精算アプリや請求書管理ツールなど、特定業務に特化した支援ツールも多数登場しています。特に、複数のサービスから届く請求書の処理が煩雑な企業には、請求書の一元管理サービスもおすすめです。
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ポイント5.アウトソーシングを検討する
経理業務の中には、社内リソースだけで対応するのが難しいものもあります。そうした場合は、専門性の高い業務を外部の専門家に委託する「アウトソーシング」も有効な選択肢です。
例えば、記帳代行・給与計算・年末調整といった定型業務を外部に任せることにより、社内の担当者はより戦略的な業務に集中できます。
また、専門家の知見を活用することで、法改正への確実な対応や業務品質の向上といったメリットも期待できます。
外部委託にはコストがかかりますが、人件費や採用・教育にかかる時間・コストを含めた全体の効率性を見極めることが大切です。
経理アウトソーシングについて詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
経理処理はツールを活用して効率化しよう
【本記事のまとめ】
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経理処理の効率化は、単に業務の負担を軽くするだけでなく、組織全体の生産性向上や経営判断の迅速化にもつながります。
自社の業務実態を把握し、取り組みやすいところから改善を重ねていくことで、経理部門の役割はより戦略的なものへと変わっていくでしょう。
経理処理の効率化を進めるには、業務の棚卸しとともに、業務支援ツールの活用が欠かせません。特に請求書管理のように煩雑になりがちな業務には、ツールの導入が大きな効果をもたらします。
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